今シーズン最注目のスーパールーキーが、ついにプロとして始動した。日本ハムが「新人合同自主トレ」を行う千葉・鎌ケ谷は、例によって大騒ぎ。ファン、報道陣でゴッタ返す中、怪物に密着した。
東京都心から北東に約25キロ。梨畑と住宅に囲まれた鎌ケ谷市のグラウンドでは、早くも“清宮狂騒曲”が始まっている。
1月9日からスタートした新人合同自主トレは、球団の配慮で内野席が無料開放。早実の先輩・斎藤佑樹が入団した2011年以来の措置だが、この対応は正解だったと言えるだろう。なにしろ、内野席は平日でも、清宮幸太郎(18)目当てのファンでほぼ満員という日が続いているのだ。
初日には、すでに練習を終えた清宮が球場に併設された選手寮に引き揚げてきた時、寮の前に数十人が陣取り、「サインください!」「清宮を出せ!」と声を荒らげる一幕もあった。
球団職員が話し合いに応じたが、1時間以上も押し問答を繰り返す始末。最終的には帰って行ったものの、去り際、寮に向かって「清宮、死ね!」などと常軌を逸した言葉を投げかけるヤカラまで出現したのだ。
「お宝サインを入手して高値で転売することが目的の集団かとも思われましたが、どうやら、そうではないようです。もともと日ハムファンの中に、フーリガンのような熱狂的すぎるファンもいて、これまでも暴走することがあった。北海道の富裕層が中心のようなのですが‥‥」(球団関係者)
一部の大人が醜態をさらす一方で、まだ高校も卒業していない清宮は“神対応”を見せる。自主トレ2日目の練習後、本人の希望で即席のサイン会が開催された。最初こそ大勢のファンに多少面食らった様子だったが、約50メートルの長蛇の列を作った総勢200人のファンひとりひとりに対し丁寧にサインに応じたのだ。
「水を向けたわけではないのですが、前日の様子を知って何かを感じたのか、自分から『やる』と言いだした。こちらとしては助かりました」(前出・球団関係者)
殺到するのはファンばかりではない。スポーツ記者以外の報道陣も清宮フィーバーを取材しようと大集結。球団側もその対応に少なからずピリピリムードだったが、図らずも記者も、その渦中に飛び込んでしまった。NPB(日本野球機構)が発行する取材証を持たない雑誌媒体の記者は、球場で受付を済ませて当日限りの取材証を発行してもらうのが一般的な慣行だ。記者もそれに従って取材証を受け取り、さっそく取材を始めたのだが‥‥。