佐々木朗希がドジャースと契約したのは、1月17日(現地時間)だった。2回目の面談において、大谷翔平やドジャースの錚々たるメンバーが共同オーナー宅での「寿司パーティー」でもてなした様子は、すでに伝えられている。
佐々木がドジャースを選んだ理由はそれだけではないが、最終候補に残ったものの、フラレた側のブルージェイズでは「波乱」が起きていた。
「佐々木がポスティングシステムによるメジャーリーグ挑戦を表明した当初、ブルージェイズはノーマークでした。徐々に巻き返し、最終候補の3球団に上り詰めました」(現地記者)
その功労者が、元ロッテ投手だった。2017年から2019年に楽天に所属し、その後は2020年からロッテに2季在籍したリリーバーのフランク・ハーマンだ。ハーマンはロッテで戦力外通告を受け、そのままキャリアを終了させた。
米球界での再スタートも検討したそうだが、2022年1月にブルージェイズから誘いを受けて、フロント入りした。スカウト部門や育成分野を担当しているが、昨年からは編成部門に異動となり、将来のメジャーリーグ挑戦を目指す日本人選手のスカウティングにもあたっていた。
「佐々木とハーマンは面識があり、佐々木の性格やメジャーリーグでどんな投手になりたいのかも把握していました。佐々木との面談においても、ブルージェイズ側の回答集を最終チェックしたと聞いています」(前出・現地記者)
ブルージェイズのオーナー企業は、大手メディアの「ロジャース・コミュニケーションズ」だ。2023年オフの大谷争奪戦においても急浮上してきたように、その資金力はヤンキース、ドジャースに引けを取らない。
今回は佐々木を知る元チームメイトからの具体的な情報が加わったことで、「ブルージェイズの逆転勝利」を予想する関係者は少なくなかった。
「ドジャース入りの一報が入った際、ブルージェイズが受けたショックは相当なものでした。でも今後、ハーマンが日本人選手の獲得においては、中心的人物として動いていくことになりそう。オーナー企業がメディアなので、日本の有名選手を獲得してビジネスを拡充していきたい、としています」(米国人ライター)
ハーマンのNPB通算成績は5年間で236登板、14勝10敗20セーブ、113ホールド。在籍は楽天とロッテだけだが、MLB志望が強い日本人選手のことは知っている。これから先、NPBでも彼の名前を聞く機会が増えることだろう。
(飯山満/スポーツライター)