優勝争いが佳境に入った大相撲初場所だが、ひとり横綱だった照ノ富士が引退。大関・琴桜と豊昇龍の綱取りは失敗に終わりそうで、来場所は32場所ぶりに横綱空位が決定的に。ここである話題が白熱し始めているという。それは元幕内・北青鳳の暴力事件を受けて現在は閉鎖されている、元横綱・白鵬の宮城野部屋の再開だ。
長年、大相撲の取材に携わるベテラン相撲記者が、現状について話す。
「相撲部屋閉鎖という厳しい処分が下ったのは、間違いなく宮城野親方本人に原因がある。それでもさすがに先の見えない無期限閉鎖というのは重すぎます。かつて木瀬親方(元前頭・肥後ノ海)が暴力団との関係が問題とされ、部屋自体が一門預かりとなって閉鎖されたことがありましたが、その後、2年足らずで解除されている。いつまでも制裁を課し続けるのは無理がある」
別の相撲担当記者も、次のように指摘する。
「宮城野親方が今後も伊勢ケ濱部屋の部屋付親方の立場でいることが、大きな火ダネとなる可能性がある。それは何度か取り沙汰された、人種差別問題です。現役を引退して年寄を襲名する際、相撲協会が宮城野親方に誓約書を書かせましたが、そんな仕打ちは前代未聞。当時、宮城野親方の周囲では人種差別だと騒ぐ人間が多かった。あまり閉鎖期間が長引くようだと、その手の話題が再燃しかねない。モンゴル政府にも当然、太いパイプがあり、外交問題になる危険性すら孕んでいますから」
さらには、伊勢ケ濱部屋継承が有力な照ノ富士との折り合いにも問題もある。相撲部屋関係者が言う。
「伊勢ケ濱親方は今年7月に満65歳になり、相撲協会を退職する。照ノ富士は横綱の特権で現役時代の四股名のまま、年寄・照ノ富士となります。そして5年間、協会に残るかもしれませんが、最終的には部屋を継承するでしょう。となれば、宮城野親方より立場が上。同じモンゴル出身だからといって、両者の仲がいいわけではない。むしろ逆ですね。先輩横綱で優勝回数がダントツな宮城野親方が、黙って従うはずがありません」
場合によっては、伊勢ケ濱部屋の生え抜き弟子と、元々は宮城野親方の弟子たちの間でマウントの取り合いが激化するかもしれない。さすがに相撲界は、燻る火ダネに気が付いたということか。