釈明会見を開くこともなく引退した元タレントの中居正広は、フジテレビのスポンサー大量撤退の一因となっただけでなく、出身地たる神奈川県の行政にまで影響が出始めた。
元フジテレビ報道番組キャスターの黒岩祐治県知事は1月21日の定例記者会見で、古巣を猛批判した。
「企業が不祥事を起こした際は、会見を迫る方だった。逆の立場になったらテレビカメラを入れない、映像を撮らせないという意思決定が行われたことは信じられない」
さらに消防司令センターを舞台にした清野菜名主演のフジテレビ月9ドラマ「119エマージェンシーコール」に撮影協力している横浜市の山中竹春市長も翌22日の定例会見で、
「(ドラマが)市消防局の業務の理解につながるものとして、SNSなどで発信を続けてきた。それがあまり許容されない状況になるのなら、対応を考えたい」
今後の市消防本部の撮影協力に含みを持たせたのである。
フジテレビ月曜夜9時の「月9ドラマ枠」は、1990年代の平均視聴率が30%超え。社会現象まで起こした「ドル箱」だ。横浜市が撮影協力を解消するようなら、前代未聞の「ドラマ放送中止」に追い込まれるかもしれない。
主演・清野の夫は、旧ジャニーズ事務所で中居の後輩にあたる生田斗真。義弟は昨年、新人の上垣皓太朗アナウンサーイジリで大炎上した「めざましテレビ」の生田竜聖アナだ。清野としては撮影中止になっても、振り上げた怒りの拳を下ろす先がない。
フジテレビが危機に見舞われる一方、絶好調なのがテレビ朝日だ。唐沢寿明と鈴木保奈美の「プライベートバンカー」は、初回世帯視聴率9.0%をマーク、松岡昌宏と伊野尾彗の「家政婦のミタゾノ」も8.6%でそれぞれ視聴率トップ3に入り、番組配信サイト「Tver」の視聴数ランキング、お気に入り登録数でもトップ5に食い込んでいる。
鈴木の代表作といえば、月9枠の「東京ラブストーリー」。しかも元夫はフジテレビF1中継のモータージャーナリスト・川井一仁氏、そして港浩一社長の盟友であるとんねるず・石橋貴明だった。おまけに1月22日に初めてフジテレビ元幹部として被害女性に謝罪した、関西テレビの大多亮社長との不倫疑惑…と、彼女の半生はフジテレビとともにあった。
公私ともにフジテレビと決別した鈴木に対し、貧乏くじを引かされた清名。新旧「月9」ヒロインが、ドラマ超えの天国と地獄を味わっている。
(那須優子)