プロ野球春季キャンプは後半戦を迎え、巨人の1軍は舞台を沖縄県那覇市へと移し、開幕へ向けて調整を続けている。2月17日には今季から加入した田中将大が初めてシート打撃に登板し、小学生時代のチームメイトである坂本勇人と対戦した。
2人は兵庫県伊丹市生まれで、地元の昆陽里小学校時代に、同じチームで6年生の時に田中が捕手、坂本が投手としてバッテリーを組んでいたことは、よく知られた話だ。中学進学後は、それぞれボーイズリーグとリトルシニアリーグのチームに所属し、別々の道を歩んできた。
そんな両者が今季から小学生以来24年ぶりにチームメイトになったことで、メディアの注目度は高まった。スポーツ紙デスクが語る。
「メジャーに渡ったマー君はヤンキース在籍時に、日本球界の選手とのつながりをほとんど断っていました。坂本らと結成した、同級生の選手が集まる『88年会』とも疎遠になり、孤立気味だった。帰国後にその間を取り持ったのが坂本でした。巨人がマー君を獲ったのも、同級生の坂本の存在が大きかった。マー君がチームになじむための潤滑油としても、坂本に期待がかかります」
不信を極め、楽天を追われるようにして巨人に逃れてきたマー君にとって、坂本は目の前に垂らされた「蜘蛛の糸」のごとき存在。しかしそれにしては、最近の報道で田中と坂本のツーショットはほとんどなく、あまり話題になっていない。
「仲が悪いという話は聞いたことはないですが、両者の間に微妙な緊張感があるのは事実でしょうね。2021年の東京五輪、日本代表で同じユニフォームに袖を通した時も、性格が正反対であることが指摘されています。どちらかといえば自分が中心にいないと気が済まない王様気質のマー君に対し、坂本は野球に対しては常に真剣ですが、プライベートは陽キャ。加えてスキャンダル含みで楽天を退団したマー君は、メディアにあれこれイジられることを極端に嫌うようになった。坂本とのコンビはメディアにとっては、格好のエサですからね。マー君は坂本について質問されても、これまでロクに答えてきませんでした」(前出・スポーツ紙デスク)
今回のシート打撃の結果は、遊ゴロと四球に終わった。が、キャンプインして初めて、田中は坂本に言及している。
「楽しんでもらえるのがいちばん。でもお互い、そこじゃない。意識は当然あったと思いますが、お互い調整の最初の段階なんで、それ(坂本と対戦すること)がどうこうではない」
実にそっけなく、かつ含みのあるコメントを発したのである。自身の復活とチームの勝利のため、もっと坂本と二人三脚で奮闘することを、ファンは望んでいる。