鉄道駅は多くの人が集まる場所だ。それだけに、駅の近くには店舗や施設が数多く集まっている。近年は駅チカだけでなく、駅ナカや駅ビルに様々な店舗や施設が入り、利便性が増している。
しなの鉄道の大屋駅(長野県)には昨年2月、郵便局が移転した。駅舎内に郵便局があり、鉄道利用のついでに郵便を出したり貯金をしたり、保険に加入することができる。郵便局員は特別企画乗車券の販売など、駅業務も行う。
似たようなところでは、長良川鉄道の関口駅(岐阜県)は駅舎跡にコンビニエンスストアのローソンがある。2013年に駅舎を建て替え、ローソンがオープンした。駅業務は行っていないが、会社や学校の帰りにコンビニを利用できるのは便利だ。
JR西国分寺駅(東京都)には、2022年に診療所が開業した。場所はなんと、中央線上りホーム。まるで駅そばを利用するような手軽さで、診療を受けることができるのだ。
駅舎内に温泉がある駅は珍しくない。主な場所を挙げると、秋田内陸縦貫鉄道の阿仁前田温泉駅(秋田県)や、JRほっとゆだ駅(岩手県)、高畠駅(山形県)、女川駅(宮城県)の駅舎内に温泉施設がある。次の列車に乗るまでに、ひとっ風呂が楽しめるわけだ。
変わったところでは、函館本線の比羅夫駅(北海道)がある。元事務室は民宿になっていて、宿泊することができるのだ。ホーム上ではバーベキューが可能で、駅というよりキャンプ場だ。
山形鉄道の長井駅(山形県、写真)は2021年に駅舎を建て替えると同時に長井市役所が入り、市役所業務を行うようになった。それだけでなく、山形銀行が窓口を開設。駅内で多くのサービスを受けることができる。
駅舎内に店舗や施設が入るのは、鉄道会社にとってもお店側にとってもメリットがある。今後は想像もつかないような駅が誕生するかもしれない。
(海野久泰)