昨季、ファンや同僚から惜しまれつつ引退したヤクルトの青木宣親GM特別補佐(43)。日米通算2730安打を記録した「安打製造機」は、フロント職としての背広姿が板につく間もなく次期監督候補の呼び声も高い。早すぎる待望論は郷里でもどんどん飛躍していって‥‥。
「生まれ育った故郷だけに特別な感じがして‥‥」
二十数年ぶりに登板したマウンドの感想を〝日向の星〟は照れくさそうに地元メディアに答えた。2月16日に宮崎県日向市にある「お倉ヶ浜総合公園野球場」で開催された楽天対ヤクルトのファーム練習試合の始球式に登板。約2400人の観客が見守る中で見事なノーバン投球で凱旋を果たした。地元記者が解説する。
「この日は日向市をキャンプ地にする楽天2軍の主催ゲームでありながら、同球場のリニューアルを記念したこけら落としも兼ねていました。ビジターのヤクルト2軍が西都市で春季キャンプをしているという〝良縁〟にも恵まれて、日向高校時代にエースとして立ったグラウンドでの晴れ舞台も実現。もっとも、青木本人のスケジュール調整が困難で、直前まで本当に来てくれるか確約が取れなかったそうです」
それだけに、日向市民は大歓迎。前日には青木ファミリーと後援者たちで豪勢な宴が催されたという。
「青木の実家で飲んで食って歌っての大盛り上がりでした。実家には青木が過去に獲得した『首位打者』などのタイトルの記念品を保管している部屋があって、そこを父親が客人に案内していました。青木家は地元の名士で、父親は保険の代理店、2人の兄も実業家。長兄は東南アジアを相手にした商い、次兄は宮崎市内で飲食店の経営やふるさと納税の中間事業者として財を成しています」(地元後援者)
野球界ではレジェンドでも青木家では末っ子に変わりはない。兄貴たちには頭が上がらないようで、
「幼少期から世話をやいてもらった恩がある。特に長兄は学業優秀で、『将来は早稲田で野球をしたい』と夢見る青木少年のために中高生時代の家庭教師を買って出たといいます。ただ、宿題をサボったり、ケアレスミスを連発したりするたびにゲンコツが飛んでくるほどのスパルタ教育だったんだとか。殴られるたびに青木少年は『お母さん!』と泣きついていたそうですが、そのおかげで早稲田大学にストレートで進学することができました」(前出・地元後援者)
早大、ヤクルトを経てメジャーリーグでも活躍したサクセスストーリーはもはや語るに及ばず。2年連続Bクラスのチーム内では、早くも監督就任を待ち望む声が上がっている。もちろん、地元でも‥‥。観光協会関係者が明かす。
「監督になって1軍の春季キャンプの日向誘致に応じてもらいたい。楽天の2軍が利用している施設には室内練習場も完備。現役時代には青木さんも村上宗隆(25)ら後輩と自主トレで利用していました。メインスタジアムも改修したばかりですし、我々とすれば、愛媛県松山市で実施されている秋季キャンプの招致が当面の目標になるでしょう」
そんな日向市民の声を、冒頭の囲み取材で青木に直撃してみると、
「1人では決められないことではありますが、非常にいい環境で練習できるのは間違いないので球団にも日向のいいところをアピールしていきたい」
と言葉を選びつつ断言。と同時に「かなりセンシティブな話題なので、うまく書いてくださいよ」とやんわり牽制することも忘れなかった。現キャンプ地への気遣いだろう。このバランス感覚も青木家の〝英才教育〟の賜物か!?