子供が世間を騒がせたのであれば、親としてはなんらかの形で謝罪する必要はあるだろう。ただ、それが立派な大人になった息子の場合、親はいつまで頭を下げ続けなければいけないのか。ふとそんな疑問が頭をよぎった記者会見がある。2017年10月12日夜、三男のタレント・清水良太郎の覚せい剤取締法違反容疑での逮捕を受け、父・清水アキラが都内の自宅前で行ったものだ。
良太郎は当時、29歳。2017年2月には「FRIDAY」が、違法賭博店に出入りする姿を写真入りで掲載。一時謹慎し、7月に芸能活動を再開した矢先の、まさかの薬物逮捕劇だった。会見に現れた父・アキラは憔悴しきった表情で肩を落とし、こう語った。
「次男とも話したけど、そんなにバカじゃないよね、と。僕たちの仕事はいつも崖っぷちで、何が起きるか分からないから、気をつけないといけないよ、と。妻からも『こういうこと(薬物)はしてないよね』と言ったのを聞いたことがあるけど『そんなことやるわけないでしょ』と。バカ野郎としか言いようがないですね。本当にバカ野郎…。もうあいつのことを信じることができないです」
声をふり絞る一方では、
「バカ野郎と突き放したいですけど、家族ですから。私の育て方がダメだったんだと思います。他人の家以上に厳しくて、何かあればひっぱたいたりもしたけど、それが逆に嘘つきにしてしまったのかもしれないです。これまでも嘘をついたことはあったんだと思います。怒られちゃ嫌だから、嘘ついてきたんじゃないですかね」
そんな涙の会見から7年半経った今年2月18日。良太郎がABEMAのオリジナル番組「愛のハイエナ」シリーズ「愛のハイエナ season3」に出演し、事件の真相を初告白した。
それによれば、逮捕前に女性とホテルで覚醒剤を使い、
「女性が帰った後、(ホテルの)窓ガラスの下の方に男性が8人くらい立っていて、まあいいやと出て行った。(窓から)見えた瞬間、全部捨てた」
その場での逮捕は免れたものの、翌日には妻子がいる自宅に、警察が逮捕状を持ってやってきたという。
そして逮捕から5日後、警察署へと面会に来た父から告げられたのは、
「保釈金は出さない。それでいいか。お前が頷いてくれないと、俺は(報道陣に)嘘は言えない」
面会の最後に2人でプラスチック越しに手を合わせると、
「お前は頑張れ。あとはなんとかしとくから」
そう言って、父親は帰っていったという。
「房に戻って1時間くらい、泣き続けました。人生で初めて親の愛を知った。気づかなかった…親ってすげぇなって」
良太郎は現在、もう一度、父とステージに立つことを目標に、路上ライブを続けているというが、「親孝行したい時に親はなし」という諺がある。同じ過ちを繰り返さないことを願うばかりだ。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。