地方のローカル鉄道路線には、昭和のイメージを今も残しているものが少なくない。経済的な理由で古い車両を使っているため、まるで国鉄時代のような雰囲気を持っている路線もある。
そんな地方ローカル路線の中でも、多くの鉄道遺産を残しているのが、青森県の津軽鉄道だ。
津軽鉄道は津軽五所川原駅と津軽中里駅を結ぶ、路線距離20.7キロの短い路線。駅数は12しかないが、見どころがいっぱいなのである。
金木駅では「タブレット交換」と「スタフ交換」が行われている。これは何か。鉄道ライターの解説を聞こう。
「タブレットとスタフは、簡単に言うと『通行証』です。特定の区間に複数の列車が入らないようにするシステムで、タブレットかスタフを持っていないと、先に進むことができません。かつては日本中で見ることができましたが、今は津軽鉄道など一部でしか見られなくなりました」
もうひとつの鉄道遺産が「腕木式信号機」だ。腕木と呼ばれる板の角度で進行と停止を判断する信号機であり、これも日本各地で使われていたが、今も現役なのは津軽鉄道だけ。津軽五所川原駅と金木駅で見ることができる。
そして津軽鉄道の名物といえば「ストーブ列車」(写真・後ろ2両がストーブ列車)だ。車内にだるまストーブを設置した列車が、12月1日から3月31日まで、毎日3往復している。
「これはノスタルジーを感じる列車ですね。ストーブはただ暖をとるだけでなく、スルメを焼くこともできます。雪景色を見ながら、あぶったスルメをつまみにワンカップ酒を飲むのは最高ですよ。こんな体験ができるのは、津軽鉄道しかありません」(前出・鉄道ライター)
鉄道遺産を味わいに、津軽鉄道を訪れてみてはいかがだろうか。
(海野久泰)