それにしても合点がいかない。不審に思っていると、在阪メディア関係者がこう耳打ちする。
「番組が終了した本当の理由は、矢野氏とX氏の間で発生した金銭トラブルだとささやかれています。矢野氏がみずからトラブルの調査に乗り出したといいますから、ギャラなどに手をつけたのでは‥‥。それが事実なら横領に当たるケースです。そして昨年の秋頃には、X氏はマネジメント業務から外されている。ラジオ番組の複数のスポンサーを引っ張ってきたのはX氏なんですが、いずれも矢野氏のタニマチばかり。関係がこじれた2人が共演している番組を継続するわけにもいかないので、スポンサーサイドから降りたそうです」
そんな疑念渦巻く2人が出会ったのは、X氏の前職時代だった。当時はスポーツ文化人や現役アスリートのマネジメント業務を担うA社所属のタレントとマネージャーという関係だった。
「X氏は元甲子園球児で、大学まで野球を続けていました。大学卒業後に京都にあるサプリメントで有名なB社に入社。08年からは、同社が立ち上げた女子プロ野球リーグの運営に従事しました。当時はリーグ運営責任者とスタジアムMCの兼務で、多忙を極めていたそうです。そこからマネジメント事務所A社に転職し、現役引退後に野球評論家として活動していた矢野氏の担当になり、X氏は矢野氏の信頼を勝ち取ったのです」(在阪メディア関係者)
そのため、18年にマネジメント会社C社が設立された時、周囲は矢野氏がX氏とともに個人事務所を立ち上げたと見ていた。
「振り返れば、この頃から高級オーダースーツを着るなどX氏の羽振りがよくなった印象です。よく周囲には『給料が上がった』と自慢していましたが」(在阪メディア関係者)
その後、フィギュアスケート選手の織田信成(37)、女子プロゴルファーの濱田茉優(29)、井上監督がC社に所属。ますますX氏が順調に事業を拡大するヤリ手経営者のように映ったという。
「トーク力には定評があり、マネジメント業務の傍らでラジオDJや阪神選手が出演する球団公式イベントのMCとしても活躍していました。かねてより、勉強熱心な人柄で知られていて、スタジアムMCを勉強するため、在阪のアナウンサーに頭を下げて指導を仰いでいたほどです。野球振興にも力を入れていて、野球教室もしばしば開催していました。そんなX氏の理念や人柄も込みで、矢野氏のタニマチになった中小企業の社長も少なくありません」(球界関係者)
もっとも、功績があれば罪過もあるようで、
「『矢野=スピリチュアル』というイメージを世間に浸透させた仕掛け人の1人なんです。阪神監督時代に外部講師として呼んだ『お笑いセラピスト』や『メンタルトレーナー』はX氏が矢野氏につなげた人脈。その強固な結びつきを訝しむ声が球団内外で絶えませんでした」(在阪メディア関係者)
とはいえ、矢野氏はチームを4年連続でAクラスに導いただけに、周囲が2人に対してヘタに口を挟むことは憚られたのであろう。そのため、外野にはX氏のC社での正式な役職を知る人間は少なかった。
そこでC社の登記簿謄本を確認してみると、X氏は社長どころか取締役ですらなかったのだ。