豊昇龍が大崩れして休場となる中、この春場所で勝ち越して抜きん出たのは平幕・高安と大関・大の里だった。高安は豊昇龍に続き、大関・琴桜も撃破。相撲ライターが言う。
「2月に行われた大相撲トーナメントから好調でした。今場所はやってくれると思っていましたが、予想通りの活躍ですね」
高安本人の感触はというと、
「落ち着いて慌てずに、自分の型を保てた。年数を重ねるごとに、いろいろなことがわかってくる。今は相撲の醍醐味を味わっている」
12勝を挙げること7回。それなのに優勝経験がないことで、高安の角界での立ち位置が分かろうというものだ。前出の相撲ライターが言う。
「大関、横綱と対戦しても、いっこうに固くならない。それがいちばんの強味ですね。しかし、ポカも少なくない。優勝決定戦に2度出ていますが、いずれも敗れています」
一度も味わったことのない優勝となれば、固くなるなと言われても無理というものだが…。
相撲解説者者の舞の海氏は、こう言っている。
「もう私ね、高安が勝つたびに『ダメだダメだ、もう優勝のこと考えちゃダメだ』と。自分自身に言い聞かせてるんですね」
さて、悲願達成となるかどうか。
(蓮見茂)