サッカーJ1の開幕から1カ月が経ち、絶不調なのは15年ぶりの優勝を狙っていた名古屋グランパスだ。
3月15日の第6節、東京ヴェルディ戦は、先制点を奪って前半を折り返したものの、後半に2点を奪われて逆転負け。これで開幕から未勝利の2分4敗で、まさかの最下位に沈んでいる。
とりわけ深刻なのは、6試合で14失点の守備陣だ。今季の目玉補強として、元日本代表のGKシュミット・ダニエルをKAAヘント(ベルギー)から獲得した。しかし開幕直前に右膝内側半月板損傷で、チームから離脱。いきなり計算外の事態が起きたが、リーグワースト失点の原因はそれだけでなかった。サッカーライターが解説する。
「昨シーズンから豪華な攻撃陣に比べて、守備陣はJ1で優勝を狙うにはほど遠く、駒不足は深刻でした。2010年の優勝メンバーの田中マルクス闘莉王や増川隆洋のような、屈強なディフェンダーの獲得を期待していたのですが、納得のいく戦力補強ができないまま、新シーズンを迎えてしまいました」
ここにきて、主力メンバーであるFW山岸祐也とDF徳元悠平の負傷離脱が発表され、空中分解の窮地に陥る中、怒りの矛先は長谷川健太監督に向けられた。早くも噴出している解任論について、名古屋の山口素弘GMはヴェルディ戦後に、
「クラブとして悠長なことは言っていられないが、今ではない」
そう言って、監督をかばう態度を見せた。とはいえ、待ったなしの状況に、前出のサッカーライターは、長谷川体制の継続に疑義を呈する。
「長谷川監督には実績があり、厳しい指導でチームを強くする力に定評がありますが、崩壊したチームを立て直す能力は高くありません。2018年から2021年に指揮を執ったFC東京でも、最後はシーズン途中に成績不振で辞任しています。昨シーズンは開幕3連敗、夏前には4連敗を喫し、早々に優勝戦線から脱落しました。最終的に11位で降格は免れたものの、シーズン後に監督交代は既定路線だと思われたのですが、ルヴァン杯で優勝したため、首の皮一枚でつながったのです」
豊富な資金力がありながら、毎年のように同じようなことを繰り返す。サポーターはとっくに我慢の限界を迎えているのだが…。
(風吹啓太)