投打のハイパフォーマンスを維持した上で、バージョンアップをするために、取捨選択を強いられる。それもファンを喜ばす大谷ならではの進化形なのか。
「大谷には故障リスクのある盗塁をさせないことが、今季の球団方針だといいます。ワールドシリーズで左肩を負傷したのも、盗塁を試みた時でした。昨季まで一塁ランナーコーチを務めていた、クレイトン・マッカロー(45)が今季よりマーリンズの監督に栄転したのも影響大です。相手投手の投球モーションを盗むために、大谷と二人三脚での動作解析などを担当していた〝盗塁のスペシャリスト〟だった。それだけに、大谷に限らずチームの盗塁数自体が自然と減ることになるでしょう」(友成氏)
とはいえ、そもそもドジャースに小技は必要ない。打者に専念した大谷が「30-30」を目指した昨年とは違い、1〜9番までどの選手がホームランを打ってもおかしくない超重量打線に得点源を委ねればいいのだから。
「2番ムーキー・ベッツ(32)、3番フレディ・フリーマン(35)はもとより、クリーンナップ候補のテオスカー・ヘルナンデス(32)、ウィル・スミス(29)、マックス・マンシー(34)はいずれも他球団から一発を警戒され、シーズン30本は織り込み済みのスラッガーです。下位打線候補もトミー・エドマン(29)こそ小技が得意な好打者タイプですが、新加入したマイケル・コンフォート(32) も昨季20本、若手有望株のアンディ・パヘス(24)も2ケタを放つなど強打者ばかり。ヘタにリスクのある盗塁をするよりも、ランナーを溜めてホームランで返すような『空中戦』が主な戦術になりそうです」(友成氏)
そんな最強チームの一員として凱旋を果たした大谷。WBC以来となる日本応援団の大声援を今後も力に換えていくだろう。その一方で、野球以外のことで頭を悩ます問題もあるようだ。
「自分の一挙手一投足が漏れなく記事になることに困惑している。例えば、ただの寝違えなのに、スプリングトレーニング中に首をさすっただけで、故障を疑うような書かれ方をされたことすらありましたからね。もっとも、その原因の1つとなっているのは、NPBのキャンプとは違ってドジャース日本人3人衆に対してぶら下がり取材がNGであること。日ごとに広報がセッティングした、囲み取材や会見でしか選手とコミュニケーションが取れなくなっています。高い金を出して派遣されていながら、全社が同じネタを共有しているような状況だけに、練習中や移動中の大谷を観察して独自ネタを絞り出すしかないのです」(スポーツ紙デスク)
結果、メディア立ち入り禁止の室内練習場で過ごす時間が長くなり、余計に大谷の近況が伝わりづらくなるというわけか。追い打ちをかけるようにさらなる取材規制も敷かれていて、
「真美子夫人(28)への取材も控えるように球団からお達しが出ている。妊娠中のナーバスな時期に余計なストレスをかけさせたくないという大谷たっての希望だといいます。フジテレビと日本テレビが自宅を放映して以降、メディアのモラルをまったく信用していないというのです。ちなみに、挨拶程度の雑談ですらアウト。従わないと、球団を出禁にされてしまうのです」(在米スポーツライター)
壮大な二刀流復帰計画が練られる一方、大谷とメディアの距離は離れていくばかりのようなのだ。
それでも今年もまた、ファンのもとには異次元の活躍を届けることになるのだろう。