今やMLBの顔となったスーパースター。昨季までに残した金字塔は数知れず、もはや〝和製ベーブ・ルース〟と呼ぶのもおこがましいほど。それでも、「SHO-TIME」はさらなる別次元へと更新を続けているのだ!
まだアップデート中のローディング状態にすぎないのだろうか─。
3月18日(日本時間、以下同)に東京ドームでMLB開幕戦を迎えたドジャース・大谷翔平(30)。異例の開幕東京遠征はチケット争奪戦に始まり、大谷をひと目見ようと来日のはるか前から異常な盛り上がりを見せた。2度目のトミー・ジョン手術から、新たな投打の二刀流復帰を目指すシーズンとなるのだから、それも当然か。
現状は、一時的に本格的な投手調整はストップしている段階だという。スポーツ紙デスクが解説する。
「米国に帰国するまではキャッチボール程度の強度に抑える予定だといいます。夏バテを見越してのスロー調整なのでしょう。過去に二刀流で出場したシーズンは秋口あたりで故障、あるいは失速する傾向にありましたから。とかく状態がよすぎるだけに、オーバーワークを首脳陣が懸念しているとも聞きます。スプリングトレーニング中に4度入ったブルペンから、150キロ超を投げ込んでいたほど調整は順調でしたからね」
昨年のワールドシリーズで負傷した左肩を、オフに手術したのも影響しているようだ。
「右ヒジのリハビリを自粛せざるをえない期間がありました。そのわずかな遅れを取り戻そうと、ハイペースで調整しているのも心配されていた。3月7日に予定していた実戦形式の『ライブBP』も首脳陣の判断で中止となりました」(スポーツ紙デスク)
待ったがかかるのも無理からぬこと。1度目のトミー・ジョン手術後に調整をしくじった〝トラウマ〟が再燃してしまうリスクがあるからだ。大リーグ評論家の友成那智氏が「20年シーズンは悲劇の1年でした」と前置きして、こう指摘する。
「コロナ禍で開幕が7月下旬に延期され、大谷の投手復帰プログラムにも影響を及ぼしました。5〜6月に1Aのカテゴリーで実戦を積むプランが破綻。半ばぶっつけ本番で7月に復帰登板を果たすも、わずか2試合の登板で右屈曲回内筋群を損傷し、投手としてのシーズンを終えてしまいました。その後もDHとして出場を続けましたが、最終的に打率1割9分、7本塁打、24打点と散々な成績でフィニッシュしています」
投手としての好不調が打撃にもつながってしまうのが二刀流の宿命。それだけに、万全すぎるほど準備を重ねたリハビリメニューが再考されたようだ。もっとも今季の初マウンドが夏以降にズレ込んでも、問題はあるまい。ドジャースは最大9人で先発ローテーションを回す構想を進めているというのだ。
「山本由伸(26)、タイラー・グラスノー(31)、ランドン・ナック(27)、ダスティン・メイ(27)に加えて、オフに獲得したサイ・ヤング賞左腕のブレイク・スネル(32)、そして開幕2戦目を任される佐々木朗希(23)の6人を中心とした先発ローテが組まれる見込みです。その上で、5月から6月にかけて故障者リストにいる大ベテランのクレイトン・カーショウ(36)やトニー・ゴンソリン(30)の復帰にも期待が持てます。開幕前にマイナー降格したボビー・ミラー(25)も控えていますから、シーズン中に誰かしらが離脱する前提でリスクヘッジがなされているのです」(友成氏)
中でも、古巣時代から〝ガラスのエース〟と揶揄されてきた佐々木は真っ先に離脱する危険性をはらんでいるようで、
「ストレートがナチュラルにシュートしてしまう〝真っシュー〟。日本では150キロ超のスピードで曲がってくるボールは脅威となり、重宝されていました。しかしMLBでは、シュート回転するストレートが球筋の見えやすい球種として狙い撃ちされる傾向にある。おのずとナックルさながらに回転数の少ない高速フォークに頼ることになりますが、多投してしまうと肩やヒジにかかる負担も大きい。チーム内でも、オールスター前後には長期休養が必要になると計算されているといいます」(在米スポーツライター)
まるで日本市場を見込んだかのように、佐々木退場のあと、入れ代わりで真打ちの大谷がマウンドに上がるのだろうか。