今年2月に沖縄県警が発表した麻薬取締法違反の摘発者数が36人に達し、過去10年で最多を記録した。前年(11人)と比べ、3倍以上に急増しており、特に10代、20代の若者の摘発が目立つ。薬物事犯全体の約7割を若年層が占めるという深刻な状況が浮き彫りになった。
近年、沖縄では大麻の違反件数が増加している。もともと沖縄における薬物の取り締まりは厳しいが、なぜ最近になって再び増加傾向にあるのか。地元事情に詳しい人物に話を聞いた。
「沖縄では昔から、大麻や薬物が米軍関係者から流通しているケースが多いですね。昨年11月には米軍嘉手納基地とキャンプ・シールズに所属する軍人が合成麻薬を密輸したとして、那覇地検に書類送検されました。若者が米軍関係者から薬物を買い、それを売りさばくルートが、昔からあるんです。最近では中学生が大麻を使用して逮捕されたというニュースがあり、学校では定期的に薬物使用を防ぐ指導が行われています」
かつては大麻や薬物の販売に暴力団が関与していたが、現在ではその影響力が低下しているという。沖縄の裏社会に詳しい関係者によれば、
「昔に比べて沖縄のヤクザは減少しました。その結果、県外から来た正体不明の売人が米軍関係者から仕入れ、販売するケースが増えています。もともとヤクザが取り仕切っていたものを、よく分からない連中が売りさばくため、トラブルが頻発している。たびたびヤクザと売人の揉め事が起こり、売人が警察に駆け込んでそのまま逮捕されるケースは少なくありません」
長年、米軍関係者とのつながりを背景に薬物が流通してきたが、最近ではより若い世代へと広がりを見せる。中学生の逮捕事例が出るなど事態は深刻化しており、学校や警察による啓発活動の強化が求められる。