オープン戦の打撃成績は打率1割1分1厘、本塁打ゼロ、OPSは3割8分4厘(3月20日時点)。今季19年目を迎えた巨人・坂本勇人の成績だ。もし他の選手だったら、間違いなく2軍降格となっていただろう。
「阿部慎之助監督は3月18日、19日の北海道遠征に、坂本を帯同させました。ドジャース、カブスとのプレシーズンマッチではコンディション不良で出番なし。体調に関する詳細は発表されていませんが、プレシーズンマッチ中も打撃練習をしていたのでケガをしているのではなく、打撃の調子が上がってこないのだと思います」(スポーツ紙記者)
坂本はその北海道遠征の2試合で「6番・DH」で出場したが、6打数ノーヒットに終わった。坂本の開幕スタメン落ちを予想する風向きは強まっている。
「同級生の田中将大に対する評価も分かれています。3月20日のイースタン・リーグDeNA戦に先発して、4回1失点。数字上では合格点ですが、75球も投げています。毎回走者を背負う苦しい投球で、『粘り強い』との評価があれば、投球全体にまだ力強さがないと指摘する声も聞かれました」(前出・スポーツ紙記者)
今季37歳になる坂本、田中はともに万全ではないようだが、「本当に厳しい立場にあるのは中山礼都」だと…。
「中山が坂本に代わって『開幕三塁』のスタメンを奪えなかったら、このまま控え選手で終わってしまうかもしれません」(球団関係者)
中山のオープン戦の打率成績は、ここまで3割6厘。チーム最多の13試合、38打席に立っている。首脳陣は期待しているわけだが、北海道遠征では2試合ともスタメン三塁で出場したものの、トータル7打数1安打で、三塁のレギュラー交代を印象付けることはできなかった。守備に関しても、プレシーズンマッチでエラーの記録にはならなかったが、一塁送球が反れる場面があった。
「5番を予定している新外国人キャベッジも、打撃成績を落としています。このままいけば開幕三塁を選ぶ基準が変わり、打撃優先で決まるかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
坂本、中山の打撃力がともに復調しなければ、「三塁・岡本和真、一塁・大城卓三」の布陣も選択肢に入ってくる。阿部巨人の開幕オーダーはいきなり「三塁・岡本」のスクランブル体制となるのか。それともレギュラー交代か、ベテランが意地を見せるのか。開幕戦までもう少し時間がほしいと思っているのは調整不足の選手たちではなく、阿部監督かもしれない。
(飯山満/スポーツライター)