さて、今後である。総理が辞任したらどうなるか。
5月27日から6月2日の間に解散すれば、「6月17日に衆議院選公示・29日に投開票、6月19日に参院選公示・7月6日投開票」は法的に可能ではある。ただ都議選が6月13日に告示・22日投開票なので、都民は3週連続の選挙になる。
辞任→解散→選挙の流れが具体的に予測できたことで私たち秘書はかなり緊張したが、自民党内の受け止め方は意外にも「野党はしつこいなあ」程度。野党とマスコミがネチネチ追及しても不安感がない。今の低い支持率で参院選を戦ったほうがマシと考えるのか。
窮地に立たされたままの石破総理は言い訳をするほどヤブヘビになるし、こうなると答弁を拒否するか、開き直るしかない。
現状のまま7月の参院選を戦い、その後「ポスト石破」が決まるのだろうが、問題は顔ぶれだ。石破総理が誕生した昨年の総裁選立候補者を思い返せばわかるが、石破降ろしが進まない最大の理由は、その人選が定まらないからだ。
昨年の総裁選で最後まで戦った高市議員は依然として意欲的だが、あまりにも思想が極端で党内からも危ぶむ声が上がるし、国民もついていけないのでは。しかもゴリゴリ保守の西田議員にプッシュされているのは、「かえって逆効果か?」とも言われている。
党内で議論が盛り上がる選択的夫婦別姓制度についても、高市議員自身は旧姓使用に不自由さを感じていたはずが、自身の支援団体の意向で「反対」の立場を取ってきた。現在は一度離婚してから再婚して、パートナーが「高市」に改姓したことで、戸籍名も「高市早苗」になった。これで準備万端ということだろう。
また、コバホークこと小林鷹之議員。党内人気は高いが「高学歴・高身長」以外に何がある? 昨年の総裁選でも演説が致命的に下手だったし、国民への知名度も足りていない。
国民の人気は高い小泉進次郎議員も「国民の人気だけ」では総理になれないことが前回の総裁選で判明したし、党内で「進次郎さんを総理に!」の声は鳴りを潜めた。議員会館の小泉議員の事務所のドアはいつも閉ざされ、取り巻きの記者も中に入れてもらえない。議員会館の事務所が「非公開」ってどういうこと?
他には経産相などを歴任した齋藤健議員を推す声も。齋藤議員は前回の総裁選で推薦人20人を集められず断念したが、本人は「手ごたえはあった」と話していて、今回は結構いけるのではと神澤は踏んでいる。
一方、注目度が急上昇しているのが柴山昌彦議員。当選8期の59歳で演説も上手だし、交渉力もあり政策にも強い。ただ賢い人なので、旧安倍派の自分の立場を理解していて、先輩たちを差し置いて出馬する野望はなさそう。文科相経験はあるので他の大臣も経験してさらに上がってほしい。
神澤としては、野田聖子議員に期待している。なんたって豪快、責任感が強く、議員立法の策定にも熱心だから、国会女子(国会に勤務する女性秘書たちを神澤はこう言う)からも人気は高い。世が世ならば任俠の世界の親分だったかも? 石川県の馳浩知事と共通項もありそうだが、当人同士はイヤがるんじゃないか。
最後に余談を。先日、ランチから戻ってきたら、石破総理のSPがずらりと並びただならぬ雰囲気を醸しており、「ついに何かあった?」と思わされたが、総理が国会敷地内の歯医者さんにいらしただけだった。一緒に見ていた秘書仲間と「悔しいことばかりで歯を食いしばりすぎたかな」と笑ったものだが、石破総理におかれてはくれぐれもお体をお大事になされますように─。
衆院議員政策秘書:神澤志万