タイトル通算100期の偉業に向けて、日本将棋連盟の羽生善治会長がいよいよ本気モードになった。日本将棋連盟の次期役員を決める予備選挙には、立候補しないと表明したのだ。その理由を「やりきった」としているが、2023年6月に第17代会長に就任してから1期、わずか2年での退任となる。
そもそも羽生会長が会長職に就いたのは、日本将棋連盟が100周年を迎えるにあたり、東西将棋会館の移転に必要な資金集めに向けた「広告塔」の役割が念頭にあったのは事実。その甲斐あって、クラウドファンディングでは総目標金額6億円に対し、9億円以上、総支援者数2万人超えを達成し、昨年9月8日に東京・渋谷に新将棋会館が完成した。お披露目式ではどこか安堵の表情を浮かべていたのが印象的だった。
羽生会長は「自分はまだ50代。棋士として頑張っていきたい」と意気込みを語っており、視線の先にタイトル通算100期達成があるのは明らかだ。
では「次期会長」は誰になるのか。歴代会長を見てみると、初代の木村義雄をはじめ、大山康晴、二上達也、中原誠、米長邦雄、谷川浩司、そして羽生世代の佐藤康光など、錚々たる顔ぶれが並ぶ。みなA級棋士あるいはタイトル経験者であり、プロ棋士をまとめ上げるためには絶対的な強さが必要であると証明している。
羽生会長と同世代ならば、前会長の佐藤九段や森下卓九段らが有力となろうが、羽生会長は「若い世代に頑張ってほしい」と口にしていることから、40代の棋士が選ばれるかもしれない。
今のところ、将棋ファンの一番人気は、十八世名人資格保持者の森内俊之九段だ。フリークラスに転出しているため、会長職に専任できるのが強みとなる。
タイトル通算獲得数歴代4位、40歳の渡辺明九段も有力候補のひとりだが、2016年に三浦弘行九段に無実の不正行為を指摘した「将棋ソフト不正使用疑惑騒動」でミソをつけるなど、人気が今ひとつなのが気になるところ。
会長職はスポンサーに向けての「顔」の役割があるだけに、実力と人気の双方を兼ね備える必要がある。さすがに藤井聡太七冠というわけにはいかないだけに、一時的に外部から招聘するというケースもあるのか、と思うのだが…。
次期会長は6月の通常総会の後、理事の互選によって決定する。
(ケン高田)