F1日本グランプリ(4月5日予選、6日決勝)が鈴鹿サーキットで行われた。このレースからトップチームのレッドブルに移籍した角田裕毅は表彰台が期待されたが、予選15位(サインツの降格で14位に昇格)、決勝12位と悪夢の週末となってしまった。モータースポーツライターが解説する。
「角田自身はベストの走りをしていたのですが、コース脇の芝生部分が4日のフリー走行から何度も火事になるというアクシデントの影響を受けてしまいました」
サーキットで火事とは、いったい何が起きていたのか。モータースポーツライターが続ける。
「F1マシンは走行中に火花を散らすことがあります。通常の車よりずっと車高が低く、マシンの底はチタン製のプレートで保護されていますが、このプレートが路面との摩擦によって火花を生じさせるのです。この火が風で飛ばされ、コース脇の芝生部分に引火して燃え広がった。この週末、鈴鹿サーキット周辺の湿度は低かったので、芝生はかなり乾燥していたと思います」
4日11時半から行われた、フリー走行1回目。角田は1分29秒172で6位。3年連続ドライバーズチャンピオンに君臨するチームメイトのフェルスタッペンからわずか0秒107差と、角田の走りはチャンピオンと遜色のないレベルを示していた。
15時スタートのフリー走行2回目では、他チームのマシンのクラッシュ以外に、火事による中断が2度も発生。さらに翌5日11時半からの3度目のフリー走行でも、火事による赤旗が2度振られた。
このアクシデントの被害をモロに受けてしまったのが角田だ。なにしろ今GPからチームが変わり、レッドブルのマシンに乗るのは初めて。テスト走行で周回を重ね、データを取りたかったはずだが、再三の中断がその機会を奪ってしまった。
それでも同日15時からの予選で、角田は健闘。僚友フェルスタッペンから0秒024差の7位につけてQ2に進出したが、ここでまたもや不運に見舞われてしまう。再び起きた火事による赤旗でアタックの機会を阻まれた角田はタイムを伸ばせず、Q2を最下位の15位で終え、Q3進出を逃してしまった。
6日の決勝、角田は12位でフィニッシュしたが、もしも火事の影響がなく予選順位が良ければ、ポイントゲットの可能性は高かったろう。
この結果を受け、ファンからは鈴鹿サーキットに対する不満の声が続出。何度も発生する火事を防げないようでは、開催権を剥奪されるのではないか、と。
角田は数少ない機会で、速さの片鱗は見せつけた。次週開催のバーレーンGPでは、ポイント獲得を期待したい。
(石見剣)