調査報告書の中では、フジお抱えのK弁護士が中居の代理人弁護士に就任したことも問題視していた。
「Aを潰すために(元編成部長で中居のパシリだった)Bが仕組んだのは容易に想像がつきます。まず前提として伝えなければならないのが、フジ内部にある歪んだエリート意識です。難関の就職試験を突破した、自分たちがいちばん優秀で正義だという意識が強すぎる。それゆえ、歯向かってくる人間を誰1人として許容しません。徹底的に潰しにかかるのです。Aに関してもフジの社内では騒動以来、役員から末端社員に至るまで『メンヘラ女』『痛い奴』という陰口が飛び交っていた。始末が悪いことに、そういったネガティブキャンペーンを局員みずからが社外にまで広げてしまうのです」(長谷川氏)
Aアナは療養中もテレワーク扱いで給与が全額支給されていた。それだけに、同僚からの風当たりが強かったのは想像に難くない。
「『中居さんとうまいことやっていたのに、彼女にしてもらえないからコジらせているんでしょ?』という類いの陰口を外部のあらゆるところで耳にしました。中居さんもBも悪くないというのが、フジ内部の大勢を占めていたのは間違いありません。まともにAに寄り添っていたのは、Fさんだけでした」(長谷川氏)
Fアナは当時、管理職として親身になって部下をフォローするも、会社から退職に至るまでの連絡窓口のみならず、「引導を渡す」役回りまで押しつけられた。23年10月期の番組改編で全レギュラー番組の降板をAアナに電話で伝えるや、
「私からすべてを奪うのか」
そう慟哭して訴えられ、Fアナまでもが精神的にギリギリの状態であったことが調査報告書には記されていた。
かつてニューヨーク支局時代に身に覚えのない「横領疑惑」で追い詰められて退社した長谷川氏の一件も思い出されるが、これがアナウンサーをことごとく潰すフジの体質なのだろうか。
一方で、姑息にも証拠隠滅に動いていたのが編成幹部だったB氏だ。今回の調査の過程で、調査対象者のメッセージデータが1950件も削除されていたことが判明。そのうち325件がB氏によるものだった。いずれも復元されて、調査報告書に記載されている。
「Bがメッセージを消しているのは知っていましたが、第三者委員会が復元までしてくれるとは驚きでした。具体的なメッセージを見ると、Bの人となりを知っている私でも『ここまでひどいのか‥‥』と言葉を失ってしまいました」(長谷川氏)
例えば、中居から入院中のAアナの窮状に動揺している旨のメッセージが届くと、
〈私から無邪気なLINEしてみましょうか??〉
と能天気なレス。Aアナが退社したことを中居に伝えるやり取りの中でも、
〈例の問題に関しては、ひと段落かなと思います。引き続き、何かお役に立てることがあれば、動きます!〉
心身ともにボロボロの同僚よりも、大物タレントにしっぽを振るばかりの体たらくなのだ。
「体育会系に憧れている、文化系のBらしさでいっぱいの文面でした。先の会見でもBの類似事案について言及がありましたが、表沙汰にされていないものが山のようにあります。フジテレビの威光を背景に、断れない女性たちにやりたい放題やってきましたからね。今回の報告書では、被害女性を不必要に傷つけまいと配慮して記載しなかったものもあると思います」(長谷川氏)
B氏といえば、「スイートルームの会」なる会合で経費の不正申請も指摘されていたが、
「いわゆる〝ライン部長〟や〝ライン局長〟と呼ばれる、日枝ラインで出世した人は無茶な経費の使い方が黙認されてきました。Bも御多分に漏れずライン部長。約38万円のホテル代が、事後承諾で捻出できるわけです。今回の一件を受けて以降、フジはほとんどの経費が切れなくなったと聞きますが、平時でも一般社員が切れる金額は1人当たり5000円まででした。取引先とは、学生が行くような安い居酒屋にしか行けません」(長谷川氏)
とはいえ、スポンサーや芸能人を接待するためにはそれなりの店を用意する必要性に迫られることも。
「高いお店を利用するたび、ライン部長におうかがいを立てる必要があります。そのため、彼らの権力がさらに強固になるのは当然と言えるでしょう」(長谷川氏)
一部の管理職や役員だけが甘い汁を啜るシステムが構築されてきたのだ。