4月7日の「しゃべくり007」(日本テレビ系)に登場したのは、プロレスラーの棚橋弘至と、女子プロレスラーの上谷沙弥×白川未奈×中野たむ×刀羅ナツコ×なつぽいだった。彼女らが所属・参戦している女子プロレス団体スターダムの親会社が新日本プロレスで、棚橋はその新日本プロレスの選手兼社長という関係だ。
シャンパンゴールドの三つ揃えスーツを身に纏い、何を言っているのかしっかりヒアリング可能な棚橋を見て、私のような昭和のプロレス好きは「昔はレスラーがスーツなんか着てたら、反社にしか見えなかったし、みんな滑舌が悪かったものだが…」と驚かされる。それ以上に、最近の女子プロレスに詳しくない私は、グラビアアイドルのようなキラキラな見た目の女子レスラーたちが、ニコニコしながら裏話をぶっちゃける様子には、隔世の感を禁じえない。
そこへ竹刀を片手に、ダンプ松本がドッキリ的な演出で現れる。直前にダンプのことをイジるような発言をしていた白川となつぽいがダッシュで逃げ出し、土下座謝罪するも、ダンプは真顔で2人を追い詰め、さらに竹刀で殴打したのだった。
ドラマ「極悪女王」の大ヒット後に多くのバラエティー番組に出演し、当時のことを穏やかな笑顔で話していたダンプの姿を見ていただけに、この表情には「おお、ダンプがキレてる!」と妙に興奮した。その後のやりとりはというと、
上田晋也(くりぃむしちゅー)「でも、刀羅選手はすごく(ダンプのことを)尊敬してるみたいです」
ダンプ「だけど、一緒に出ちゃダメだよな。ベビーフェイスと一緒に出て、ヘラヘラ笑ってちゃダメ。なんで断らねぇんだよ!」
本来はヒールであるはずの上谷と刀羅が、ベビーフェイスの選手と一緒になって笑顔でトークすることに苦言を呈したのだった。さらに棚橋に向かって言う。
ダンプ「こういうところに出てきて、ヘラヘラ笑ってちゃダメなの。本当のヒールになりたいんだったら。(お前も)そう思うだろ」
棚橋「思いません。まず、女子プロレスを盛り上げるためには、選手を有名にしないといけないんですよ。だからこういう場で…」
ダンプ「リングの上で有名にしたらいいじゃないか」
棚橋「試合会場に皆さんが来てもらうためには、皆さんに顔を売って名前を知ってもらわなくちゃいけない。順番が逆なんです」
ダンプ「それは分かるよ。でも、一緒になって笑ってちゃダメだろ」
棚橋「それは(ダメだと)思います」
ピリピリしていたスタジオの雰囲気が一気に和らいだのだった。
現役時代、私生活でもヒールに徹し、本当は同期で親友であるはずの長与千種を血祭りにあげ、あげくにクラッシュギャルズのファンからは本気で憎まれ、カミソリ入りの手紙を送りつけられたりもしたダンプ。彼女からすれば、今のヒールなんて「甘っちょろい」と感じて仕方ないだろう。それでも最後は時おり笑顔を見せながら、カワイイ後輩たちにアドバイスを送っていたのが印象的だった。
とはいえ結局のところ、こちらとしては「スターダムの試合、見てみようかな」ではなく「『極悪女王』をまた見ようかな」となったのが正直なところだが…。
(堀江南/テレビソムリエ)