「本当にびっくりしました。競馬アイドルとして活動し始めてから2年目の夏でした。ようやく関係者の方に顔と名前を覚えてもらえてきた頃、小倉競馬場に取材に行ったんです。仕事が終わったあとのお酒の席で、ある50代の馬主さんを紹介されたんです。もちろんお名前はうかがったことのある方でしたから、粗相があってはいけないと緊張しました。それで最初は頑張って競馬の話をいっぱいしていたんですけど、お開きが近づいた時に『2人で話したい』と。正直、何かお仕事でもいただけるのかと嬉しかったんですよ。そしたら、今夜は(ホテルに)部屋が取ってあるからって。おもわず『えっ!?』っと声を失っていたら、いわゆる“オンナ”にならないかと申し出をされたんです」
現在20代後半で競馬タレントとして活躍中のAさんだが、その時の申し出条件も全て覚えているという。
・馬主自身が競馬場に来た土日の開催日に同伴する(土曜は同じホテルに宿泊)
・競馬関係で海外など行く場合も同伴する
・一度の同伴にあたり、毎回25万円を支払う
・タレント活動は続けても問題なし
・他の同様の申し出は断わってほしい
といった内容だ。一般人の恋人がいるAさんはこの申し出にあ然としながらも「どんな言葉で話したかは忘れてしまった」が断わったのだという。
「自分がそういう対象としか見られていなかったという悔しさも湧き上がりましたが、当時、月給20万円ちょっとだった私みたいな他のタレントさんが言われたら、この話に心が動いてしまう可能性もあったでしょうね。それを断わってしまった私は、競馬サークル内での活動は二度とできなくなるのではと急に心配になって、あとで泣きそうになりました。ところが、その後に『あいつに仕事を回すな』みたいな妨害を受けることもなかったですし、むしろこの世界ではあんなことは頻繁にあることではないかと思うようになりました」(Aさん)
ターフには夢だけでなく悪夢も詰まっているのだ。