まだシーズン前だというのに早くもオフの去就がささやかれる監督、選手がいれば、逆に笑顔がはじけている現場もある。キャンプのこぼれ話は最後までテンコ盛りだ。
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大型補強で順風満帆な巨人に死角はない。裏を返せば、ブッチ切りで優勝しなければ、何の言い訳もできないだろう。
原監督は、渡辺恒雄会長(85)からのプレッシャーをすでに感じているだろうか。読売グループの関係者が明かす。
「オフにもいろいろありましたが、ナベツネさんが『原は人気がいまいち』とまだ言ってるんですよ。それで『優勝しないと原更迭は決まっている』と清武元オーナーが聞いたら過剰反応しそうな言葉を吐いていると言います」
そして、渡辺会長が描く組閣案は、落合博満監督(58)、江川卓助監督(56)というスターコンビの登板だという。
「巨人軍の優勝とは、すなわち日本一のこと。日本シリーズに出場したとしても、4連敗や1勝しかできないようなら更迭でしょう。とはいえ、人気者の江川氏も監督未経験で手腕は未知数なので、豊富な経験を持つ落合氏を引っ張り出したい。すでに落合氏と親しいグループ内の記者に接触させているようです」(前出・読売グループ関係者)
原監督とは対照的に、成績を残してユニホームを脱ぐと噂される選手もいる。
2000本安打達成まであと25本と迫った、ヤクルト・宮本慎也(41)である。
「『若手に出場機会を与えたい』と話している宮本のモチベーションが、大記録達成でなくなる可能性は高い。そのため若手への切り替えを進めてはいますが、守備で40過ぎの宮本を超える存在がいないのは問題。シーズン後に引退するにしても『監督を胴上げして』という宮本の思いは成就するでしょうか」(遊軍記者)
これまでのポジションから「お役御免」というのは、中日の岩瀬仁紀(37)だ。
「かつての抑えのエースも打ち込まれるケースが増えました。何より昨年、セットアッパーの浅尾拓也(27)がMVPを獲ったことが決め手となりそうです。ただし配置転換するなら岩瀬のプライドを考えなければならない。今季、チームに復帰した大親友・川上憲伸(36)がクッションにでもなってくれればいいのですが‥‥」(ドラ番記者)
阪神では、不動の守護神が変わるはずもない。今オフのメジャー挑戦も取りざたされる藤川球児(31)は、さらに武器を磨いていた。
「今キャンプで元メジャーリーガー・佐々木主浩氏(43)からフォークの指導を受けたんです。それにしても、大魔神はこれで何十年も食っていけるでしょう。『臨時コーチ』の肩書で小遣い稼ぎができますからね。フォークの神様・杉下茂氏(86)が実証済みです」(スポーツ紙デスク)
阪神では、今季から就任した有田修三ヘッドコーチ(60)の周辺も騒がしい。
「有田コーチが入閣したのは、前任・真弓監督続投を前提に進められていた“仲よし人事”。今の現場では扱いに困っているようです。というのも関西圏では有田氏の地元局・ABCでのラジオ解説に中身がないのは有名な話で、ネット上で阪神ファンが『大歓迎』と書き込んだのも、『あの聴きづらい解説を聴かなくて済むから』と言われている。その風評を知ってか、本人は『ABCの仕事は楽しかった』を連呼。すぐに戻されることを予期しているのかも」(球団関係者)
伝統的な“暴力キャンプ”
昨年は最下位だったロッテのキャンプが熱を帯びていると評判だ。
遊軍記者が語る。
「昨年、統一球導入の影響で貧打に泣き、金森栄治打撃コーチ(55)が二軍に降格し、高橋慶彦ヘッドコーチ(54)が昇格してきた。この高橋コーチが昔の強かった時代の広島キャンプを実践しているんです。その実態はアーリーワーク。楽天・大久保コーチの比じゃないほど朝から厳しく鍛えてますよ。ボールを引き付けて打つ“金森理論”と合わなかった大松尚逸(29)など、明らかに復調する選手も出ていて、一昨年の日本一チームの評価が高まっている」
それでは、ハードな練習の元祖・広島に目を向けたらどうか。
「ハードの意味が少々違って、伝統的な“暴力キャンプ”です。野村謙二郎監督(45)の鉄拳や蹴りがバンバン飛んでくる。被害者? そんなの数限りないですよ。他球団だったら問題になるかもしれませんが、広島では普通のことなので、まったく問題になってませんね」(スポーツライター)
一方、暴力とは無縁そうに明るくキャンプを過ごしているのが、日本ハム・斎藤佑樹(23)である。
昨年まではダルビッシュの影響力が強いチーム内で孤立することも多かったが、今年は他の投手陣ともジョークを飛ばし合うなど、溶け込んでいる様子だという。球団関係者が明かす。
「昨年のキャンプ中、斎藤は知人の紹介で沖縄県内の占い師のもとを訪れているんです。そこで占い師から、『あなたはイチローさんタイプではなく、松井秀喜さんのような野球選手を目指したほうがいい』と言われた。同行者はイチローも所属する斎藤のマネジメント会社社長だったから絶句したそうです」
斎藤は昨年、忠告に反してイチローのようにストイックに徹した。結果、チーム内で浮いたようだが‥‥。
「今季はそれこそ松井のように八方美人となり、評判も上々。キャンプでは両親の姿も見ていないので、親離れもしたのかもしれません。1年越しで占い師の進言を理解したのですかね」(前出・球団関係者)
笑顔が絶えないのは斎藤ばかりではない。
昨年の日本シリーズでノーアウト満塁を無失点で抑えてブレイクした、ソフトバンク・森福充彦(25)がイケイケだ。
「さっそく芸能界からも声がかかりまして、このキャンプ中、大ファンであるウルフルズが契約している事務所とマネジメント契約を結んだ。憧れのバンドとの共演を夢みて、ますますの快投を誓っていますよ」(前出・スポーツライター)
厳しいキャンプを乗り越え、シーズン終了後に本当に笑っているのはどこのチームだろうか。