芸能

有名人衝撃死の真相「田宮二郎」“死に至った理由を2人の男が分析”

20150806u

 78年12月28日、トップスターだった田宮二郎(享年43)は、生涯の代表作の撮影直後に、猟銃で命を絶つ。昭和の芸能史に残る衝撃ニュースを、公私のそれぞれで最も近くにいた2人の男が分析する。

「僕の友人の精神科医がドラマを見ていて、彼の異変に気がついた。僕に『ちゃんと薬を飲むように言ったほうがいいよ』と伝えてきたんだ」

 語るのは名優・山本學である。日本のドラマ史の金字塔と呼ばれる「白い巨塔」(78~79年、フジテレビ系)で、主人公・財前五郎のライバル医師である里見脩二を演じた。

 この撮影当時、すでに財前役の田宮は躁うつ病だった。また「M資金」など、怪しげな投資にのめり込んでいたことも発覚する。

 田宮とはこれが初共演だったが、驚かされることが多かったと山本は言う。

「僕も田宮さんも病院の見学には行っていたんですよ。ある日、田宮さんが『ガクさんは盲腸って残っている?』と聞く。僕があると答えると、『盲腸の手術ならできるから、僕が切るよ』と真顔で言うんだ」

 同ドラマは、医師としての野望に燃える財前と、良心を貫く里見との対比を軸に描いた。やがて山本の名演が光った里見役に、視聴者の評価も高まってゆく。田宮は原作者の山崎豊子氏に電話をかけては、不満をぶつけた。

「俺がこんなに懸命なのに、どうして里見のほうが評判がいいんだ!」

 そう山崎から聞かされた山本だが、そんなことはない、と思ったそうだ。

「財前と里見は、ひとつの人間を善と悪のふたつに割った存在。だから善を演じた僕の人気は上がるけど、田宮さんこそ役者冥利に尽きるような熱演だった」

 医師でありながらガンに侵され、親友の里見に「キミが正しかった」と詫びながら手を握る。山本は、あまりの力の強さに腕がしびれる思いがした。田宮は遺体となって運ばれてゆく場面も、代役を立てずにみずからシーツの下に入った。

 田宮の没後に「追悼」とテロップを入れてオンエアされた最終回は、31.4%もの高視聴率を記録した。

 田宮の長男・柴田光太郎は、まだ中学1年生だった。父の晩年は、弟が中学受験を控えていたため母親と2人で青山に別居し、麻布の自宅には光太郎が田宮と一緒に住んでいた。

 その弟・田宮五郎は昨年、47歳の若さで急死した。柴田はその若すぎる死を前に、父はそれよりさらに若くして亡くなったのかと感慨を新たにした。そして父と過ごした最後の日々を思い出す。

「父の精神的な病気のこともあったし、僕が長男として見なきゃいけないという使命を感じていました」

 撮影で遅くなる田宮のために、光太郎は夜10時半になると、父の部屋にある風呂を沸かした。ただ、撮影はいつも長引き、光太郎は先に眠ってしまう。

 当時の風呂に追いだき機能はなく、すっかり冷めてしまっただろうが、それでも毎朝、「お風呂を入れてくれてありがとう」のメモが残されていた。

 田宮が命を絶った日、光太郎は新潟へスキー合宿に出かけていた。訃報を聞いて、「ようやく夫婦の仲も戻ろうとしていたのに、早すぎる」と落胆した。

 田宮は死に際し、妻や弁護士、先輩の奈良岡朋子らに宛てた8通の遺書を残している。達筆で、文面もしっかりした内容だった。ただし光太郎は、公表されたものとは別の「遺書」があったと明かす。

「日記のように、一冊の本になっていました。精神状態によっては、まるで殴り書きのように字が乱れていた。死の直前に書いたものもそうでした」

 田宮夫人の母(田宮の義母)はこの時期、麻布で一緒に住んでいたが、持病が再発して入院することになった。もちろんそれは、田宮に何ら責はない。しかし、

〈お母さんが本日入院しました。なお僕も死を選びます。何を語っても僕の生きる方法はないと思います。許して下さい〉

 これが、未公開の殴り書き遺書の文面である。

 光太郎は「ほんのささいなこと」が死に結び付いたことを悔やむ。

「それでも、父の死後に多くの作品がリメイクされた。僕の中ではずっと父親ですから、亡くなってからも例を見ないほど評価されているのは、ありがたいことだと思います」

 衝撃的な死に方ではあったが、父として息子に確かな絆を残している。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
3
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
4
「子供じゃないんだから」佐々木朗希が米マスコミに叩かれ始めた「温室育ち」のツケ
5
これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」