今週は新潟で「レパードS」が行われる。今年で第7回という歴史の浅い3歳馬のダート重賞で、過去の勝ち馬は1、2番人気のみ。比較的堅めの傾向だ。一方の「小倉記念」は小回りのハンデ戦だけに、大荒れもありそう。
今週のメインはレパードS。09年に創設された3歳馬によるダートの重賞だ。
第1回の勝者トランセンドは、その後の活躍が目覚ましく、ジャパンCダート連覇やドバイワールドCで2着に健闘するなど、GI4勝をあげた。また、第4回勝者ホッコータルマエは、現在も活躍中(GI9勝)なのは周知のことだろう。
このへんは同じ3歳馬限定のユニコーンSと趣を異にするところ。この重賞を踏み台として勝ち負けした馬は、以後、ダート界のスターとして大きく羽ばたいていくのである。
であるからか、人気馬が期待に応えることが多い。これまでの6回、いずれも1、2番人気の馬が勝っている(1番人気4勝、2番人気2勝)。馬単、馬連とも万馬券が1度も出ておらず、本命党の重賞と言っていいか。
顔ぶれを見てみよう。GIIIユニコーンS、GIジャパンダートダービーを連勝したノンコノユメ(秋以降に備えて自重)以外、一線級は出そろった感じだ。
クロスクリーガー、ゴールデンバローズを筆頭として、カラパナビーチ、ライドオンウインド、モズライジン、ノボバカラ、アルタイルといったところが有力候補としてあげられるだろうか。いずれにしても、なかなかの好メンバーだ。
しかし、そうである以上、波乱の目もなきにしもあらず。穴党としては、クロスクリーガー、ゴールデンバローズを本命視するわけにはいかない。3番人気以下の馬に目をつけてみたい。
狙ってみたいのは、オールブラッシュだ。5カ月ぶりとなった前走、500万平場の内容がよかった。久々の実戦で、しかも初の古馬相手。にもかかわらず楽々と逃げ切ってしまったのだ。2着に5馬身差の圧勝。モノが違うところを見せつけてくれた。
この時のダートは重馬場で、脚抜きがよく1分51秒4の速い時計での決着だった。この走破時計がいかに優秀だったかは、翌日、同じ舞台のジュライSと比較してみればわかる。馬場状態はやや重で、依然として脚抜きがよかった。しかも、ここは格上のオープンで、勝ち馬サウンドトゥルーの時計が1分51秒6だったのだ。これにコンマ2秒も上回ったのだから、恐れ入るではないか。
「追えばもっと時計を詰められた。まだ余裕があった」
と、オールブラッシュとコンビを組んだルメール騎手の証言もある。であるなら、強敵相手となる今回も大いに注目していいのではなかろうか。
休養前は体質的に弱く、素質のよさを生かすことができないもどかしさが陣営には付きまとっていた。しかし、この5カ月の間で心身ともに成長を促せたということなのだろう。
「使われての反動もなく、この中間さらにたくましくなっている。どんな競馬をしてくれるか、楽しみ」
とは、村山調教師はじめ、厩舎スタッフが口をそろえるところで、1週前の追い切りの動きも軽快そのものだった。
そして血統もいい。ヘルシーアディクション(GIサンタマルガリータ招待H)など、近親、一族に米国のダート競馬で活躍した馬が多いのだ。
前走は逃げ切ったが、好位で折り合えるのもこの馬のよさ。自在に立ち回れるし、乾いて力を要すダートもパワフルな走法からまったく問題ない。成長、変身なったオールブラッシュの“一発”に賭けてみたい。
穴は、東京ダービーを制した浦和から参戦するラッキープリンスだ。前走はノンコノユメに一蹴されたが、中央の強敵相手に3着は評価していい。しっかりした馬体で血統(母系は欧州の一流血脈)もよく、軽視は禁物だ。
◆アサヒ芸能8/4発売(8/13号)より