今週は札幌で「札幌記念」が行われる。函館で行われた13年を除く過去10回のうち、8回で1番人気馬が連に絡む堅めの傾向。だが今年は実力が拮抗しており、波乱も十分。一方、小倉の「北九州記念」は、差し馬に注目だ!
いずれはGI昇格。そんな声があるだけに、51回目を迎える伝統の札幌記念は、今年も豪華な顔ぶれだ。
残念なのは、1週前の追い切りを前にしてルージュバックが発熱で回避したことだろうか。周知のように桜花賞1番人気馬(結果9着)で、オークス僅差2着。昨年の覇者ハープスターと同じく3歳牝馬は52キロで出走できることもあり、使っていれば最有力候補と見られたことだろう。レースの重厚さが増していたことを思えば、かえすがえすも残念でならない。
それでも、前述したように顔ぶれがいい。GI勝ち馬2頭を含め、出走馬のほとんどが重賞勝ち馬。見応え満点の迫力ある競馬が堪能できそうだ。
ではまず、馬単導入後の過去13年間を振り返ってみようか。その馬単(馬連も)で万馬券になったのは3回。3歳54キロ、4歳以上57キロ(牝馬はそれぞれ2キロ減)の定量戦で行われるだけに、紛れは少ないと見るべきなのだろう(1番人気4勝、2着5回。2番人気4勝、2着1回)。
また、牝馬の活躍が目立つことが特徴か(6勝、2着2回)。出走頭数が少なくて、これだけの良績。斤量面で恩恵があるからだろうが、出走してくる以上、その陣営の自信の表れと見てよく、紅一点、ラキシスからは目が離せない。
今回は、そのラキシスが1、2番人気になろうかと思われるが、しかし各馬の能力はハイレベルで拮抗しており、人気どおりに決まるかどうか。このへんは微妙なようにも思われる。
ざっと見渡して先手を奪って逃げるのはトウケイヘイローか。一昨年のこのレースで他馬を寄せつけず逃げ切って重賞3連覇を果たしたのは、ファンもご記憶のことだろう。その後はGI香港Cで2着に頑張り一流馬の仲間入りを果たしたが、札幌記念を最後に勝ち鞍がないままでいる。
しかし、前走の七夕賞で復活の兆しを見せたのであれば、ここは狙っていたレースだけに軽く見ることは断じてできまい。休み明け3戦目でもあり、チャンスは十分あるはずだ。
ただ、単騎逃げできる展開の有利さがあるにせよ、重賞3連覇を果たした4歳時の勢いを期待していいものか、どうか。
というのも、昨夏からこの6月の鳴尾記念まで9カ月半戦列を離れていた理由が、脚部不安(左前脚の浅屈腱炎)にあったからだ。一つ間違えれば競走生命を断たれることになっていたわけで、いくら走れる条件がそろっているとはいえ、簡単に手を出せない。
狙ってみたいのは、ディサイファだ。エプソムC以来2カ月半ぶりの実戦になるが、とにもかくにもここ目標に、文句なしの仕上がりを見せている。1週前の追い切りは伸びやかで、しまいも鋭く、ケチのつけようがなかった。
「オクテと言ってよく、6歳の今になって本格化した。以前のひ弱さがすっかり消えて、思いどおりの調教を課すことができる」
こう言って目を細めるのは、小島太調教師だが、それだけに臨戦態勢は万全と言っていいだろう。
この秋の最大目標を天皇賞に置いているが、ならば同じ距離で争われる定量戦のここでは下手な競馬はできまい。好位で立ち回れる器用さを持っているだけに、逃げるトウケイヘイローをがっちりマークできる強みもある。
グラスワンダー(有馬記念連覇などGI4勝)を近親に持ち、名牝グローリアスソング(米加古馬女王)、シングスピール(ジャパンカップなどGI4勝)など、一族に活躍馬がキラ星のごとくいる良血。大いに期待したい。
◆アサヒ芸能8/18発売(8/27号)より