夏の音楽シーンを締めくくる「a-nation stadium fes.」が、東京と大阪の2会場、全4公演で開催される。出演者は浜崎あゆみを筆頭に、BIGBANGやSUPER JUNIORら人気の韓国勢、さらには今を時めく三代目 J Soul Brothersらとエイベックスの総力を結集した豪華ラインアップになっている。
ところが、肝心のチケットが全公演とも売り切れていないのである。これだけの顔ぶれを揃えてもソールドアウトにならないとは驚きだが、音楽関係者は売れ残りもやむなしと語る。
「この手のフェスは一見豪華ですが、それぞれのアーティストのファンにとっては出演時間が短いことから、あまり楽しめないという面もあります。しかも夏場はほかにもサマーソニックをはじめとする大型の音楽イベントが多く、ファンもフェス疲れしているんです」
とはいえ、空席が目立つ会場を目の当りにしたら、出演アーティストも嬉しくないはず。なかでも、最終公演となる8月30日のヘッドライナーを任され、a-nation全体の大トリを務める浜崎あゆみの心中はいかがなものだろうか。もっとも、ファンが浜崎の大トリを心待ちにしているかどうかは疑問だと、前出の音楽関係者は解説する。
「浜崎はすでにヒットメーカーではありません。シングルCDの週間ランキング1位は、2010年9月の『L』が最後。2014年10月リリースの『Terminal』は最高位が24位と、16年ぶりにトップテンを逃しています。アルバムのほうも2013年の『LOVE again』こそ1位になりましたが、その後の2作品は5位と4位に留まっています」
たしかに最近のヒットチャートはAKB48かジャニーズ、そしてEXILEの独壇場だ。でも、あゆファンからの支持は今でも根強いのでは?
「たしかに、あゆ世代の女子から絶大な人気を誇っているのは間違いありません。ただ、ファンの多くはもはや30代。結婚している人も少なくなく、あゆの単独ライブなら足を運ぶけど、大トリを務めるだけのフェスにまで行く体力や財力はないんでしょうね」
これがひと昔前の人気絶頂期であれば、あゆの出番だけを観たくてフェスに来るファンも少なくなかっただろう。だが2012年のa-nationではすでに、お目当てのアーティストが出番を終えると、あゆのステージを尻目に観客が出口に殺到するという光景が見られていた。今年はアルバム2枚をリリースして気を吐くあゆだが、a-nationでの人気はCDランキングと同様、目に見えて残酷のようだ。
(金田麻有)