女優・川島なお美が、9月24日午後7時55分、肝内胆管がんで急逝した。享年54。一昨年7月には「余命1年」を宣告されながら、最後の濡れ場を演じきっていた。
川島が、パティシエの夫・鎧塚俊彦氏(49)と久しぶりにメディアの前に姿を現したのは、9月7日のことだった。
「黒いワンピースからのぞく素肌は骨格が浮き出るほどやせ細っていて、以前の面影は影を潜めていました。闘病生活の過酷さを感じずにはいられませんでした」(芸能記者)
川島自身はその会見で、
「普通に元気です。特に板の上(舞台)では人が変わるみたい」
と答えた。しかし、9月17日に出演した舞台では、ろれつが回らなくなり、翌日には降板を発表した。
「強い痛み止めの薬のせいでないかと言われています。降板直後に、都内の病院に入院しました」(前出・芸能記者)
川島の体に異変が発見されたのは、2年前のことだった。急逝の翌日に「ビビット」(TBS系)に出演した山田邦子(55)が涙ながらにこう明かした。
「(13年の)7月ぐらいに、『(余命)1年ですよ』と(打ち明けられた)」
同年7月、川島は岩井志麻子氏原作の映画「チャイ・コイ」で13年ぶりに主演を務めることが発表される。川島は「子宮が呼吸できない」と、撮影には常に前ばりなしで挑んできたが、同作では、50歳の完熟ボディを披露。余命を宣告されながら過激な濡れ場を演じきったことになる。
公開にあたって川島はこの一糸まとわぬベッドシーンを引き受けたことについて、「10年後にはできない」と意味深な発言をしていたが、映画公開の翌月の14年1月に肝内胆管がんの腹腔鏡手術を受けた。
今年7月に「金曜日のスマたちへ」(TBS系)に出演。みずから、転移はしておらず、腫瘍を完全に切除することに成功したと語った。「艶っぽさがある健康な熟女」を気丈に演じたのだった。
術後も放射線治療や抗がん剤治療を拒否したが、これも女優業のためだったようだ。医療ジャーナリストの笹川伸雄氏が解説する。
「治療も大幅に進歩していますが、抗がん剤を飲むと9割9分脱毛症状は起きますし、激痛が体を襲います。放射線治療も、照射した部分の臓器が機能低下を起こすリスクから逃れることはできません」
夫と病院を探したが、放射線や薬を拒否した場合、「免疫療法」という治療法が最後の手段となる。自分の体から組織を採り、増殖させて再び体に注入する方法だ。
「直接がんを叩く方法と、全身の免疫力を上げる方法があります。保険が適用されないので料金は、1セット3回の注入で約150万~160万円という高額なものです」(医療関係者)
免疫力を高めると言われる食品を食べることで、闘病を続けていたという。
「効果には個人差が大きく、何が本人にいいか一概に言うのは非常に難しい。食べ物による治療は諸刃の剣です。抗がん作用や耐性を高める効果がある一方で、一つのものを食べ続けることで細胞の活性化を阻害する二面性があります」(前出・笹川氏)
夫の支えのもとで最後まで完治と復帰を目指していたが、亡くなる日の朝には、意識がないままメイクの人にシャンプーをしてもらったという。
かつて、「私の血はワインでできている」と言うほどワイン好きだった川島。
「最近はあれだけ好きだったワインも匂いを楽しむことしかできなくなっていた。鎧塚氏は仕事を早退して、川島と自宅で過ごす時間を作っていました。周囲からは『休んでも‥‥』と声が上がっていたようですが、従業員のためにも厨房に立ち続けていました」(前出・芸能記者)
臨終後、Tシャツからワイン色のドレスに着替えさせてもらい、まさに「女優・川島なお美」を貫いて、病院から自宅に帰ったという。ご冥福を祈りたい。