長らく長寿日本一を誇っていた沖縄県民の平均寿命が急下降している。最新の調査では女性が3位、男性は30位だった。さらに、成人男性の2人に1人が肥満なのだ。その原因はさまざま語られているが、なんと沖縄の食生活の「本土化」が最大の理由だと語る医師がいる。
「こくらクリニック」(沖縄県那覇市)の渡辺信幸院長。は、著書「日本人だからご飯を食べるな──肉・卵・チーズが健康長寿をつくるー」(講談社)でこう述べている。
〈沖縄の長寿県が崩壊した原因は、一般には食事の欧米化が原因といわれているが、本土復帰前後の時期の方がカロリーや脂肪の摂取量が多く、それ以降、摂取量は減少し続けた。最近ではカロリー、脂肪とも全国平均を下回っている。私は、むしろ、食の和食化が沖縄県民の寿命を縮めていると考える〉
食生活の変化で顕著なのは、肉食の激減だという。渡辺院長はこうも論じている。
〈沖縄は肉、特に豚肉の消費量は全国1位だったのです。それが最近の健康ブームも相まって野菜と穀物を食べるようになってしまい、肉食が激減。総務省統計局の調べによれば、平成25年度の豚肉消費量は全国44位です。そしてこれが沖縄を短命県にしたのです〉
渡辺院長によれば、人間の生命維持に欠かせない4大栄養素であるタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んでいるのが肉、卵、チーズなのだという。
かつて本土の日本人は短命だったが、それは仏教などの影響で肉食がタブーで、栄養が足りなかったため。沖縄は肉食が主だったため長寿だった。本土は戦後肉や卵、チーズを積極的に取るようになり、ようやく平均寿命が欧米諸国、沖縄に追いついた。ところが沖縄の食生活がかつてのように本土化し、肉食が激減し短命になったのだという。しかし、肉食中心では内臓脂肪が増え、循環器疾患の原因にはならないのだろうか。この疑問にも渡辺院長は答えている。
〈体の脂肪のもとはあくまでも糖質。肉や卵を食べたからといって血中コレステロール値が上がることはない。米や野菜、果物に含まれる糖質、食物繊維は必須栄養素ではない。糖質は体内で合成できるので、量を減らしても何ら問題ない。むしろ食べ過ぎは肥満や糖尿病の原因になる。食物繊維は、基本的に人間は消化できず、むしろ便秘の原因になる〉
肉には太る原因となる糖質はほとんど含まれておらず、また食べ過ぎても脂は体外に排出されると聞けば、試す価値はありそうだ。
(谷川渓)