メタボにとって冬は憂鬱な季節。よく食べるが、寒いので動かない。顔回りに肉がつくので、首の詰まった衣服を着る冬は二重アゴが目立ってしまう。こんな悩みがなんと、カラオケで解消するというではないか。
それほど太っていないと思っていても、顔回りに一度肉がつくと落ちにくく、よけいに太って見える。スポーツインストラクターの大川香氏が言う。
「体の脂肪は筋トレと有酸素運動を続けていけば落とすことはできますが、顔は筋肉を動かすことが少ないため、なかなか落ちません」
アゴから首にかけては複数の筋肉がある。そのひとつ、顎舌骨筋の働きが弱ってくると顔の血流が滞り、むくみが生じてくる。この状態を放っておくと、この筋肉の間に脂肪がつき、それが蓄積されて慢性的な二重アゴができあがるのだ。さらには喉の奥のほうの筋肉周辺にも脂肪がつき始めて顔の輪郭全体が大きくなり、体重以上に太っているように見えてくる。
対処法としては、顔の血流が滞らないようマッサージを行うのが効果的なのだが、簡単にできる方法がほかにもあった。先の大川氏が続けて説明する。
「カラオケです。思いきり喉の奥を開けて歌うことで、顔面ばかりか喉の奥のほうの筋肉も鍛えることができます。さらに、歌うことでカロリーも消費できます」
確かに巷ではカラオケダイエットなるものを耳にする。その効果を管理栄養士の中川孝子さんは次のように話すのだ。
「カラオケ1曲あたりの消費カロリーは10キロカロリー前後。数曲歌えば10分ほどのウォーキングの運動量に匹敵します」
歌うだけで歩く以上のカロリーを消費できるのだが、コツもあるようで、前出・大川氏によれば、「腹式呼吸が必須」だとか。
声を出すときにしっかりお腹が動いてへこんでいるのを意識することが必要なのだ。腹式呼吸は有酸素運動なので脂肪の燃焼が促進され、お腹周りが引き締まるのだが、喉からの発声では消費カロリーが少ないだけでなく、長時間歌うと喉を壊しやすいともいう。
「ダイエットの基本は腹筋や胸筋などの体幹部を鍛えること」(前出・大川氏)
歌を歌うことでそれらがかなうと聞けば、今晩からのカラオケはいつも以上に熱が入りそうだ。
(谷川渓)