第28回東京国際映画祭のラストを飾るクロージングセレモニーにて、広瀬すずら5人に「ARIGATO(ありがとう)賞」が贈られた。これは“突出して日本映画界に貢献している方”への感謝と今後ますますの活躍を期待して贈られるもので、今回から新設されたもの。広瀬のほかには樹木希林、リリー・フランキー、細田守監督、日野晃博氏が受賞した。
この賞に関しては「すずちゃん、おめでとう!」という賛辞もあるものの、否定的な声のほうが圧倒的に多いようだ。そのなかには「広瀬が突出して貢献って…」や、「樹木希林や細田監督と並べるのは失礼でしょう」など、広瀬の受賞に疑問の声をあげる向きも少なくない。映画ライターが説明する。
「広瀬がこの1年で出演した映画は『海街diary』1本だけ。声優を務めた『バケモノの子』を入れても2本だけで、いずれも単独主演ではありません。その広瀬が受賞できるなら、主演作の『ビリギャル』とヒロイン作の『ストロボ・エッジ』の両方がヒットした有村架純のほうがよっぽど、日本映画界に貢献してますよ。どうにも選考が恣意的だと疑わざるを得ません」
とはいえ、所属事務所に広瀬を同賞に押し込めるような力があるとも思えない。ということは映画界全体として、広瀬への期待感があるのだろうか。映画ライターが続ける。
「広瀬は来年3月公開の『ちはやふる』が初の主演作として期待されており、さらに秋公開予定の『怒り』、そして来年公開を予定する『四月は君の嘘』と出演作が目白押しです。最近はテレビを中心に活動する若手女優が多いなかで、続けざまに映画の仕事を受けているのは映画界から見れば好印象。やはり映画界としては、今後の日本映画を象徴するような十代の女優を後押ししたいんでしょうね」
ということは、広瀬の受賞は来年に向けた期待込みといったところか。ともあれ、今後の出演作が大ヒットを記録すれば、今度こそ“突出した貢献”で評価されてもいいはず。でも来年の東京国際映画祭では、もっと若手の女優に贈られたりするかもしれない。
(白根麻子)