「受け答えもしっかりして‥‥って、もうお母さんみたいな気持ち」
フィギュアスケート「グランプリシリーズ2015」の記者発表会で浅田真央選手にそう言わせたのは、今シーズン、シニアデビューの宇野昌磨。浅田が母のような気持ちになるのにはワケがある。まだ5歳の宇野を見出し、スケートを始めるきっかけを作ったのが浅田なのだ。
「近所のスケートリンクに遊びに行った、まだ5歳の宇野に『かわいい! スケートやりなよ』と声をかけたのが中学生の浅田です。宇野は、それをきっかけに浅田と同じ山田満知子コーチのもとでスケートを始めました」(スポーツ紙記者)。
しかし、浅田が見出した実力派選手は宇野だけではない。昨シーズンのNHK杯で優勝した村上大介もその一人だ。
「両親の都合で子供のころからアメリカ暮らしの村上は、9歳でスケートを始めました。15歳の時にはアメリカ代表として世界ジュニアにも出場しています。最初はアメリカ代表に何の疑問も抱かなかったものの、世界大会で活躍する日本人選手たちを見て、自分も日本人として滑ってみたいと思うようになったんです」(前出・スポーツ紙記者)
そんな時、村上が学ぶラファエル・アルトゥニアンコーチのもとに06年から07年のシーズン、浅田が指導を受けにやってきた。浅田、そして浅田の母が「日本人なんだから日本代表になったら」と声をかけたのが日本に戻るきっかけになった。代表国を変更したため1年以上国際試合に出られなかったが、もともと実績も実力もある期待の選手だ。
浅田が見出した二人の“息子”が、グランプリファイナルに残ることも、十分ありそうだ。
(芝公子)