坪内容疑者らが逮捕されたのは、氷山の一角にすぎないだろう。「同業者」たちは都内の高級ホテルなどで、日常的にそうしたパーティを開催している。この手の事情に詳しいフリーライターの吉岡幸二氏はこう話す。
「90年代後半から5、6年の間に、こうしたサークルは大流行しました。個人でホームページを開設して参加者を募っていたのですが、警察の相次ぐ摘発によって一時は風前のともし火に。それでもマニアたちの志向性まで失われたわけではないので、ネットの掲示板を利用してひそかに復活していったのです。予定していた参加人数が集まったら、投稿を消して証拠を残さないようにしたり、隠語も飛び交っています。例えば、『大人の集まり』とか、単独男性は『炭酸』、未成年がいる場合は『未』など、わかる人だけに向けた趣味として輪を広げています」
多くのパーティは、3時間1セット。その間は参加者と何回セックスをしてもいいが、射精後にシャワーを浴びるなど、約束事が決められている。参加費は2万円前後。ちなみに冨山容疑者は1万円から1万3000円と“良心的”な価格設定だったようで、警察の取り調べでは、
「生計を立てられるほど儲けてはいなかった」
と供述しているという。
実際に、この種の乱交パーティを主催した男性はこう明かす。
「乱交パーティだけを生業として成功している人はほとんどいません。あくまでも趣味と実益を兼ねたおこづかい稼ぎ、という感覚でした。主催するかぎりは参加者を多く集めたくなるんです。『ゴムなし』とか『未成年』だと人気で男性参加者が多い。家出掲示板で女子高生を探して、アルバイトさせたこともあります。口コミで評判は広まっていきますが、人気が出すぎると、警察に目をつけられて逮捕される危険性があるので、もう足を洗いました」
場所は高級ホテルを使用することが多く、苦情を避けるためにこんな注意を払っていた。
「部屋に頻繁に参加者が出入りするので、ドアの開け閉めの音には注意していました。使い終えたコンドームも全部持ち帰り、潮吹きでシーツがびちょびちょになった時のために、犬のトイレシートを敷くこともあった」(前出・主催者の男性)
14年3月には、人気若手女優の門脇麦(23)主演で、乱交パーティを題材とした映画「愛の渦」が公開された。それ以降、こんな変化が見られるようになったという。
「参加者は今まで男性10人、女性3人など圧倒的に男性が多かった。映画で乱交に興味を持った女性が増えて、男性より参加者が多いこともあり、“竿待ち”の状況になることもあります。『見学』だけ希望して部屋を訪れるコもいるのですが、結局、複数プレイを見ているうちに興奮して、参加してハマっちゃうようです」(前出・吉岡氏)
一度、溺れたら抜けられない「趣味」の世界。逮捕されてから過ちに気づいても、もはや手遅れなのである。