放送開始以降、高視聴率で走り続ける「下町ロケット」(TBS系)。主演の阿部寛もさることながら、最近では吉川晃司に対する評価がうなぎのぼりだ。
夕刊紙からテレビ誌に至るまでが口をそろえて「存在感が光る」「いい芝居をしている」と言う。ところが「あれはまやかし」とバッサリ斬るのは、さる舞台演出家だ。
「吉川が演じている財前道生という役柄がいいのであって、吉川が役者として優れているわけではありません。まず財前は出番もセリフも少ない。だから登場するだけで自然と視線が財前に行くし、セリフも同様に無意識のうちに懸命に聴こうとしてしまう。これは俗に言う“おいしい役柄”ですから、芸達者な人には回ってきません。また、これまでの池井戸潤作品である『半沢直樹』や『ルーズヴェルト・ゲーム』(ともにTBS系)もそうでしたが、この『下町ロケット』も役者の顔アップのシーンがとても多い。吉川は歌手として顔アップを撮られ慣れていますからね」
とはいえ、個性派俳優、演技派俳優の中で遜色なく演じている吉川。巨大企業の重役然としたスーツ姿とクセの強い声質はきちんと評価されてもいいのかもしれない。