「レッド」(01年)では遊井亮子(39)がイジメにあう少女を演じたが、不良グループに襲われるシーンが描かれた。かつては清純派だった彼女が、3人がかりで無残な姿にされ耐える凄惨なシーンを熱演した。
翌年に放映された「真珠夫人」は2日に1回の割合でベッドシーンがあると話題に──。没落した家を守るため、横山めぐみは新興成金と結婚するが、引き離された恋人のために貞操を守り続ける。しかし、ほとばしる性欲にはあらがえず、
「何だかあたくし、苦しくて‥‥ごめんなさい、あたくし‥‥」
と会合から席を外すと、紅潮した表情で個室に戻り、恋人の姿を思い出して自慰にふけるのだった。
「ハァ‥‥ハァ‥‥直也さん、はああ、直也さん!」
着物の胸元に手をしのばせ、乳房をまさぐる。太腿を閉じることで、秘部への刺激を増やし、快感に酔いしれるのだ。そして、目を潤ませたかと思うと、
「直也さん! ンッ‥‥」
と喜悦の声を上げて、絶頂に達するのだった。
昼ドラで恒例となった、浮気夫に対する懲罰料理は、「真珠夫人」の「たわしコロッケ」が起源だが、「牡丹と薔薇」(04年)では、小沢真珠(38)が、「値札付き財布ステーキ」に怒る夫の前で、不気味な笑みを浮かべるシーンも印象的だった。そんな屈折した攻撃性の矛先は、姉役の大河内奈々子にも向けられていた。
「姉妹の結び付きを強くするために、同じ時刻に処女をささげましょう」という常軌を逸した約束を結ばせる。しかし決行当日、体が硬直して計画に失敗した大河内に対し、処女を失った小沢は激怒。ならず者を雇って大河内の処女を奪おうとする。夜道を歩く大河内に忍び寄る3人の男たち。いきなり襲いかかり、口を塞ぐと、服を力任せに破いた。
「いやああああ!」
突然押し倒された大河内は、抵抗むなしくスカートの中に手を突っ込まれる。男は慣れた手つきでパンティだけを剥ぎ取ると、馬乗りになって、チャックを下げる。破瓜の痛みか、暗闇に再度響き渡る彼女の叫びはお茶の間を震え上がらせた。
「日々、小沢に虐げられていた大河内に対して、ここまでやるかという思いでした。迫真のレイプシーンには、下着が見えたうれしさより同情の気分でいっぱいになりました」(ドラマ評論家・上杉純也氏)
「娼婦と淑女」(10年)で子爵の跡取り令嬢に扮した安達祐実は、桃色のあでやかな着物を脱ぎ捨て、
「抱いて‥‥」
と消え入りそうな声でささやく。バストトップこそ拝めないものの、鎖骨が浮かぶ胸元からは、形のいい美乳が容易に想像できた。実兄との禁断の愛に溺れる安達は、最初で最後の一夜を共にする。
「一度だけでいい。たった一度‥‥。それだけで生きていける」
兄の唇が耳裏からうなじにかけてはうと、安達はうつろな表情を浮かべる。体を重ねると細い指で兄の髪をつかみながらイキ果てるのだった。この濡れ場は40秒にも及び、昼ドラとしては異例の長さを誇った。
前年には離婚や母親のAVデビューなど、家族で苦悩した安達がみごとに近親相姦を演じきったのだ。
一連の迫真の演技が好評を博し、安達は14年公開の映画「花宵道中」(東京テアトル)で吉原の遊女を演じた。オールヌードによる激しい濡れ場で、“天才子役”からの脱却を果たしたのだ。
「女優が一皮剥ける場所が昼ドラです。まさかこの役を‥‥という昼ドラの意外さを最も象徴する作品でした」(ドラマ評論家・ペリー萩野氏)