マエケンに次いでその動向に関心が集まっているのは、日本ハムの大谷翔平(21)だ。プロ3年目を終えた大谷が海外FA権を得るにはあと6年が必要。まだ契約更改でメジャー移籍希望を一度も口にしていない大谷が、なぜメジャー球団で「いつアメリカに来るのか」と話題にされるのか。
鍵となるのはポスティング制度。13年12月に日米間で結び直された新ポスティング制度は、これまで無制限だった日本の所属球団に支払われる譲渡金に上限が設けられ、約24億円に抑えられた。その新制度の効力は16年12月まで。以降、1年更新となるが、次の更新では入札金がゼロになる可能性が指摘されているのだ。
「メジャー側はポスティングを撤廃し、譲渡金の発生しない完全FAによる移籍を求めています。つまり次回更新ではさらに譲渡金が減るか、撤廃という方向になるかもしれません。NPBは交渉下手ですからね。日米外交と一緒ですよ。日本の各球団はうすうす、そのことに感づいています。現状ならば最高で24億円が日本の球団に入るわけですから、どうせ出ていかれるなら現システムのうちにポスティングを使いたい。そこで浮上しているのが、大谷の来オフ電撃放出なのです」(日米の野球事情に詳しいスポーツライター)
ダルビッシュ有(29)の例を見るまでもなく、日本ハムは海外FA権を行使して出て行かれる前に、譲渡金が発生するポスティング移籍を認めるという経営方針。譲渡金の取りっぱぐれを避けるためには、システム変更前に大谷を移籍させることが経営上プラスとなるのだ。さるメジャー球団関係者が断言する。
「大谷は100年に1人の逸材。日本ハムに入団した経緯を調査すると、メジャー移籍は3年以上プレーした時点で大谷が決めることができる密約が結ばれているらしいじゃないか。そうなると、今オフの電撃ポスティングもありうる。いずれにしろ、現行のポスティング最後となる来オフには確実に標的となるだろう」
大谷に関心を寄せているのは球団だけではない。複数の代理人も、大谷との契約をモノにしようと必死の様子。松坂大輔(35)がレッドソックス入りの際に総額120億円の契約をまとめ、全米随一の豪腕代理人として知られるスコット・ボラス氏は、わざわざ今年9月に来日して日本ハムを表敬訪問した。楽天時代の田中もガードが堅く、代理人の接触は困難だったが、大谷のガードはそれ以上。
「かつてイチロー(42)がポスティングでメジャー移籍する際、日本サイドの代理人はオリックス球団でした。同様に大谷の場合も日本ハムが担うとの情報を聞きつけ、いち早く売り込みをかけたのです」(前出・メジャー球団関係者)