「プレミア12」での手落ち采配を機に、侍ジャパン・小久保監督へのバッシングが収まらない。ついには捲土重来を期して挑む、17年のWBCに向けて救世主の待望論が加速。もちろん現指揮官とも因縁浅からぬ、あのスター監督にも異論はないようである。
歴史的敗戦のショックは今も消えていない。初の国際大会「プレミア12」に臨んだ日本代表・侍ジャパンは、準決勝の韓国戦(11月19日)でまさかの敗退劇を演じた。小久保裕紀監督(44)の継投ミスによる逆転負け、決勝進出を逃した衝撃は日本球界全体に大きな爪痕を残している。
韓国打線に7回まで1安打無失点と好投していた大谷翔平(21)を85球でベンチに下げ、3点リードの8回からバトンを継がせた則本昂大(24)がイニングまたぎとなった9回に崩れ、松井裕樹(20)、増井浩俊(31)のリレーも失敗。一挙4得点で試合をひっくり返された小久保監督が「僕の継投ミス」と責任を認めたことで、多くのファンから怒りを買ったのだ。
「何が何でも世界一を獲る」とぶち上げておきながら、みずからのポカで初代王者の座を逃した小久保監督にはネット上を中心にブーイングが殺到。2017年3月に開催予定の第4回WBCまで契約が残っていることから、指揮官は任期を全うしてリベンジを果たす決意を表明したものの、その続投宣言がかえって火に油を注ぐ形に。小久保バッシングは現在も沈静化する気配が見られない。侍ジャパン関係者が言う。
「そもそも小久保監督は、スター選手ぞろいのチームを統率できていなかった。台湾遠征中に主力選手が夜の街で乱痴気騒ぎをしていたことが明らかとなり批判を浴びましたが、大会期間中に門限すら設けていない。選手を管理できない監督の甘さが原因でしょう。グラウンドレベルでも、投手コーチは鹿取義隆コーチ(58)のみで、試合中のブルペンはコーチ不在だった。台湾の球場ではブルペンに電話がなく、鹿取コーチが試合中に慌てて走って様子を見に行けば、投手はまだ満足に調整もしていない。そんな事態もあったといいます。こうした状況でも監督が鹿取コーチと矢野燿大バッテリーコーチ(47)に事前から配置や環境対策について指示するような統率力があったら、例の継投ミスも起こらなかったのではないか」
実は侍ジャパンを統括するNPBや関連会社のNPBエンタープライズには、小久保監督の解任を求める電話が各方面から鳴りやまないという。連日にわたり対応に追われる関係者はこう吐露した。
「このまま小久保体制をWBCまで“放置”しておいたら、世間の反発はシャレにならないレベルに達してしまうよ」
その危機打開策として急浮上し始めている仰天プランがある。それこそが09年の第2回WBCで侍ジャパンの監督としてチームを連覇に導いた前巨人監督・原辰徳氏(57)を緊急再登板させる案だ。小久保監督を来年春にも解任し、新たに原氏を侍ジャパンの新監督として迎え、約1年後のWBCに向けてリスタートを切らせるべく複数のNPB幹部や球界有識者たちが調整に動きだしているというのである。NPBと密接な関係にある球界関係者が強い口調で打ち明ける。
「もともと小久保監督は地味で、スポンサー受けが悪かった。そこへ来てプレミア12の致命的な失態で日本中を敵に回したんです。次期WBCの試合中継権を欲する民放局や、スポンサーの中には広告代理店を通じて『小久保監督ではあまりにもイメージが悪すぎる』とはやばやと二の足を踏んでいるところまである。さまざまな要因が絡み、一刻も早く“知名度が高く、国際試合の大一番でも勝てる監督”への切り替えが必要となっており、その適任者こそが原さんなんです」
くしくも、08年の北京五輪でメダルなしに終わった星野仙一監督(68)が09年の第2回WBCでも指揮することを世論が許さず、原監督の代表監督就任に進んだ経緯とかぶるのである。