ゴールデンタイムの週間視聴率でテレビ東京に抜かれ、民放キー局最下位に転落したフジテレビ。社内の士気も下がっているという同局を救うのは、お笑い芸人のフリートークにあると指摘するのは、テレビ誌のライターだ。
「いまフジテレビで最も面白い番組の一つが『人生のパイセンTV』です。『ヨルタモリ』の後釜として始まった時は、期間限定の中継ぎ番組とさえ言われていましたが、MCを務めるオードリー若林正恭とベッキーのフリートークが冴えわたっています。取材対象にぐいぐい切り込むVTRも観ていて冷や冷やするほどで、黄金時代のフジテレビのようだと話題です」
若林が「カンペが2枚しかなくて慌てた」と語るほど、自由さにあふれている同番組。このほかにも、ミュージシャンのレキシをMCに据えた『アフロの変』や、バカリズム×バナナマンの掛け合いで魅せる『そんなバカなマン』など、深夜帯に注目番組が集まっているという。これらの番組に共通しているのは芸人のトークがメインであることと、番組内で流すVTRの充実ぶりだ。テレビ誌のライターが続ける。
「芸人のトークに頼るのは簡単そうですが、番組のコンセプトが明確でないと成立しないので、実はリスクが高いんです。また出来のいいVTRは、綿密な下調べと入念な取材の賜物。なんでも安易に済ませる風潮の中、ちゃんと汗を流して番組を作っている姿勢が伝わってきますね」
最近の報道によると、芸人のトークさえも台本でギチギチに縛り、アドリブの余地を許さない番組作りに明石家さんまが怒りを示したという話も伝わっている。台本を作り込むのは大変な作業のようだが、冒険を恐れる制作サイドにとっては想定外の事態を抑え込めるので、結果的に楽をできる面もある。そんな台本頼りの番組制作が、フジテレビらしさを失う理由の一つだったのかもしれない。
「だからこそ深夜帯とは言えど、自由な雰囲気にあふれた番組が増えていることには期待が持てます。これらの番組を安易にゴールデンに格上げせず、じっくりと育てる度量があるかどうかが試されている時期ですね」(前出・テレビ誌ライター)
ふらふらと方向が定まらないフジテレビゆえ、これらの深夜番組を安易につぶしてしまわないことを祈るのみだ。
(金田麻有)