芝や路盤の変化に伴い馬場硬度は変貌したが、含水率にも大きな影響を及ぼす。開催前の降雨量だけでなく、散水も影響するだけに、ファンにとっては判断の難しいところだ。
「昨春の京都開催は、レース前日に水をまいたことで、かなり馬場が柔らかかった。そういうことが何度かありましたね。芝は植物なので天気予報によっては、前日に水まきをしないといけませんからね。ただ、その後はHPの『馬場情報』の欄に『週末情報』というコーナーが追加され、金曜日の正午以降に行った作業内容も書かれるようになり、疑心暗鬼にならずに済むようになりました。近いうちに馬場硬度の数値発表も実施されるようになるでしょう」
昨春、京都で行われた天皇賞では、1番人気のキズナが7着に散った。良馬場発表にもかかわらず、柔らかな芝の影響からか自慢の豪脚が炸裂せず、上がり3ハロン34秒9だった(14年はメンバー最速の34秒0)。
今の競馬は、昔の常識が通用せず、まさに新装開店状態。馬場の様相がガラッと一変する中、どう馬券に反映させるべきなのか。
「馬場管理技術の進歩により、これまで以上に先行脚質馬が優位に立つことになるでしょう。以前は内側の芝が傷み『いつ、外差しの馬場になるか』ということが馬券戦略の一つだったじゃないですか。しかし、最近は待てど暮らせど外伸びにならない(笑)。例えば中山芝1200メートル。1番人気の逃げ馬の勝率は47.1%で、8番人気まで単勝回収率はプラス。回収率的に見れば人気薄の逃げ馬の激走に期待したいところです」
「先行脚質馬が優位」という傾向は、昨年暮れに行われた有馬記念や今年の金杯からもうかがえる。有馬記念では逃げたキタサンブラックが3着。終始5、6番手以内でレースを運んだゴールドアクターとサウンズオブアースが1、2着、不利と言われる大外枠だった12番人気のマリアライトもアタマ差の4着にふんばった。
また、京都の金杯にしても、2、3番手でレースを進めたミッキーラブソングとウインプリメーラが3着、1着。13番人気のテイエムタイホーが5番手追走から2着に入線し、3連単は34万円オーバー。ちなみに、1番人気のトーセンスターダムは、11番手で10着に敗れている。