過去7年間、交流戦の優勝は全てパ・リーグ球団。「パ高セ低」の不名誉を阻止すべくセ各球団は失地回復に燃え、パは怒濤の8連覇で力の差を見せつける――。いや、毎年恒例のバトルは何もそれだけではない。移籍因縁、クビ怨念、ライバル対決、トレード品定め‥‥年に一度の舞台で、選手、監督、チームのたまりにたまったモノが一気に激突するのだ!
まんまとダマされていた!
16日からスタートのセ・パ交流戦――8年目の今年、その「目玉対決」として報道陣の間でひそかに盛り上がっているのが、「巨人VS日本ハム」の猛烈遺恨バトルだ。
野球ファンなら、もうおわかりだろう。そう、東海大・菅野智之(22)を巡る、昨年のドラフト騒動である。
巨人・原辰徳監督(53)を伯父に持ち、「巨人以外には行かない」との態度を表明していた菅野だけに、狙っていた他球団は軒並み指名回避に動くと見られていた。ところが蓋を開けてみれば、日ハムが強引に1位競合指名。抽選で指名権を獲得して菅野を「強奪」、巨人の一本釣り計画は崩れ去った。態度を硬化させた菅野は日ハム入りを断固として拒否し、「東海大残留」を選択。今年のドラフト会議での、悲願の巨人入りを目指している。ところが、である。球団関係者が明かす。
「日ハムはなんと、今秋また菅野を獲りにいく方針を固めています。交渉期限が切れた4月1日以降も、フロントは野球協約を調べて、“再指名可能ならいく”と決めたんですよ」
野球協約の新人選手選択会議規約第12条には、「進学その他の事由により、その選手が再び就学した場合は、再び当該選手を選択できる」とある。つまり、大学を卒業して浪人の身なら本人の同意がないと再指名できないが、留年して大学に通っているということなら「就学」に当たり、再指名OK。現状では菅野がどんな身分になっているのか不透明な部分もあり、NPB(日本野球機構)は再指名の可否判断を保留している状態だ。
さて、この日ハム再指名情報は、原監督の耳にも届いた。まさかの展開に、心中穏やかなはずはない。読売グループ関係者が渋い表情で言う。
「そりゃもう、激怒だよ。そもそも原監督は昨年のドラフト会議でも相当怒っていた。独自の人脈を使って日ハム内部などから情報を集め、『絶対に単独指名できる』と清武英利GM(当時)に豪語していたのに、あんな結果になった。原監督は日ハムの人間にもダマされていたことになる。自分をダマしてまで指名したことに、怒りが収まらないようだった。まして今年、単独指名できればいいが、日ハム再指名情報で火に油を注ぐ形になったわけだから」
怒りに震える原巨人は、交流戦で日ハムにだけは絶対に負けたくない。ただ、原監督と栗山英樹監督(51)のガチンコ遺恨対決となると、やや微妙。
「2人は兄弟分の関係にあるんですよ」
と明かすのは、NPB関係者である。
「栗山監督は原監督のことを『球界で最も尊敬していて、実の兄貴のように思っている』と話している。そもそも原監督に憧れて(原監督の母校)東海大相模に進学したかったのに、かなわなかった経緯がある。自分に懐いてくる弟分を、原監督もかわいがっているわけですから」