巨人入り「密約」をホゴに・・・
巨人と日ハムの因縁は、球団同士のイザコザだけにとどまらない。「若きエース格」のプライドもぶつかり合うのだ。
プロ2年目にして開幕投手の重責を果たした日ハム・斎藤佑樹(23)は、昨年の交流戦期間中はケガで二軍落ちしており、巨人戦に登板すれば、今年が初対決となる。その因縁について、前出の読売グループ関係者は次のように説明する。
「斎藤はもともと巨人に入団したかった。巨人のスカウトも斎藤が高校を卒業後も接触を続けていた。実は斎藤には海外志向があって、巨人がヤンキースと業務提携している関係もあり、将来的にメジャーでプレーしたい希望を口にしていたんだよ。もちろん巨人サイドもそれはわかっていた。基本的に両者は『合意』しており、斎藤にしてみれば、“巨人がドラフト指名してくれたらとてもうれしい”と思っていたわけだ。ところがドラフト前になって、巨人はどうしても即戦力の投手を補強する必要に迫られ、清武GM(当時)は『斎藤じゃダメだ。澤村でいけ』と方針転換した」
巨人は人気より実力の澤村拓一( 24 )を選んだ。巨人に「裏切られた」形となった斎藤だが、清武GMのひと言に、さらにカチンときたという。巨人担当記者が言う。
「みずからの判断を正当化するためか、数値化した資料をもとに追い打ちをかけるように、『明らかに斎藤より澤村のほうが上』と言ったんです。斎藤はすでに日ハムに入団しているのに、です。そりゃあアタマにくるのも当然でしょう」
こうした背景のもと、斎藤は巨人戦登板に燃え、気合い十分なのだ。
一方の澤村も、斎藤への対抗心はなみなみならぬものがある。ルーキーだった昨シーズン、澤村は「ハンカチ世代」と呼ばれることに猛反発。斎藤と比較する報道陣からの質問に、
「同世代の選手の質問はやめてほしい」
と注文をつけている。
「斎藤のさの字が出ると、露骨にイヤな顔をする。澤村が一方的に斎藤を意識しています。だって『俺のほうが(実力は)上だろ』と思っているわけですから。まぁ、斎藤にしてみれば、自分の代わりに巨人入りした澤村に目の敵にされるなど、迷惑な話ですが」(前出・巨人担当記者)
ちなみに、澤村ら「ハンカチ世代」の同期は結託して、斎藤を拒絶する姿勢を打ち出している。楽天・田中将大(23)と広島・前田健太(24)がそうだ。昨年、マー君が19勝して沢村賞を獲得した際、自身もその前年に沢村賞に輝いているマエケンは、報道陣にこう言ったという。
「これで『マー君世代』ですかね。いずれ『マエケン世代』にしなきゃいけないですけどね」
斎藤が同期に疎まれるのも、その絶大な人気ゆえなのだが。