今週は春GIシーズンの幕開けを飾る「高松宮記念」が中京で行われる。昨年は香港からの刺客エアロヴェロシティが4番人気で勝利を収めたが、今年も連覇を狙って来日。馬券的にはこの馬の取捨が鍵を握りそうだ。
来週に入ると4月だが、その2週目には桜花賞が行われる。クラシックの到来とともに本格的な競馬シーズンを迎えるが、春を告げるGIはこれ、高松宮記念が今週のメインだ。
勝てば牡馬ならおおむね引退後は種牡馬になっており、年を追うごとに評価が上がる価値あるGIと言っていい。昨年は、香港から遠征してきたエアロヴェロシティが勝ったが、連覇を狙って今年も参戦する。まずは、この馬の取捨を検討してみよう。
昨年は、国際GI香港スプリントを勝ち、一息入れたあとの年明けの重賞で2着惜敗。上り調子での挑戦だった。しかし今年は、陣営の青写真どおりにはなっていない。香港スプリント連覇をもくろんで臨んだ前哨戦で軽い脚部不安を起こして本番を断念せざるをえなかった。それでも休養明けの前走を勝ち上がるあたりは能力の証明か。
こんな経緯があっての挑戦だが、昨年と違って順調でなかっただけに、前走の反動(俗に言う2走ボケ)が怖い。それに他のGIと違って古豪の活躍も目立つが、明けて8歳。ピークを過ぎているだけに、額面どおり実績を信頼しきれないだろう。
これは日本馬にも言えることだ。有力どころには古豪が多い。前哨戦のオーシャンSで3着、みごと復活したスノードラゴンも8歳。同レースで2着に逃げ粘ったハクサンムーンは7歳。貫録を見せつけてくれはしたが、では本番でも、と全幅の信頼を寄せていいものかどうかは疑わしい。
というのも、これまでを振り返ってみると、充実の5歳馬が圧倒的に強く、続いて6歳、明け4歳馬が活躍している。7歳以上の古豪は、肉体的には峠を越えており、胸突き八丁の厳しい競馬になる本番は、苦戦を強いられると見ておくべきだろう。
馬単が導入された03年以降、これまでの13年間、その馬単で万馬券になったのは4回(馬連は2回)。この間、1番人気は3勝(2着2回)、2番人気は2勝(2着2回)。目下、2年続いて馬単は万馬券になっているが、全般的には中穴傾向の重賞と言っていい。
では今回の顔ぶれを見てみよう。実に多彩である。前述したように7歳上の古豪が6頭と多く、有力馬も少なくない。しかし実績をうのみにして簡単に飛びつくべきではない。やはりデータどおり、4~6歳馬に目を向けたい。
最も狙ってみたいのは、アルビアーノだ。こちらは明け4歳、それも牝馬。5、6歳勢に比べると少々分が悪そうにも思われるが、これからが楽しみな成長株。3歳時から短中距離では牡馬勝りの能力を見せつけていたほどで、心身ともに成長してきた今なら勝ち負けに持ち込んで何ら不思議はない。
前走のオーシャンSは1番人気に支持されたが5着と期待を裏切った。しかし勝ち馬とはコンマ5秒差。巻き返しは可能な内容、結果だったと言っていい。
最たる敗因は出遅れ。先行馬有利の緩い流れの中、最速の上がり脚で追い込んだが、間に合わなかった。3カ月半ぶりの実戦で初めての6ハロン戦。馬に戸惑いがあっただろうし、それを思うと次につながる評価できる内容と言える。
頑丈でいてあか抜けた好馬体。これだけでも素質の高さがうかがい知れるが、木村調教師はじめ、厩舎関係者は「ここにきて心身ともに成長。これからは素質のよさを存分に生かせそうだ」と口をそろえ、期待感をにじませる。
休み明けを使われたことで調子自体もアップ。稽古の動きががぜん素軽くなった。アーチ(GIスーパーダービー)、アコマ(GIスピンスターS)、ヤマニンパラダイス(最優秀2歳牝馬)など近親、一族に活躍馬が多くいる良血。大きく狙ってみたい。