「週刊文春」の取材をきっかけに高木が野球賭博への関与を認めたのと並行して、笠原氏や松本氏が相次ぎ複数のメディアの取材に答えたこともチームを悩ませている。チーム内では試合前の円陣で「声出し」を行った選手が、その試合に勝利した場合に全員から徴収した金銭を総獲りしたり、ノックの際にエラーしたら金銭を徴収するなどのやり取りが行われていたことを暴露したのだ。
円陣を組むメンバーといえば、ベンチ入りしていた選手全員と考えるのがごく自然だろう。となれば、主力選手全員が、連勝すれば金額は倍々ゲームだったという限りなく賭け事に近いやり取りの関与に関してクロなのである。
声出しについて、あくまで球団は「験担ぎ」であり、「賭け行為ではない」として、八百長につながることはないと結論づけているが、「誤解を招く恐れもあることから、野球賭博問題を機に一切禁じています」と発表している。
球界関係者が言う。
「今回の報道を受けて、巨人のある野手は『(声出しでの金銭授受は)あんなもん、どこだってやってるよ』と憤っていた。実際、西武や阪神、ソフトバンクに広島などでも声出しで金銭授受が行われていた事実を公表しました。ところが、公表していない別の球団でもそうした金銭授受の慣習はあるようなのですが、いずれの球団でも声出しでの賭けを最初に持ちかけていたのは巨人からの移籍選手だったというんです」
現役時代の高橋由伸監督(40)も参加していたのか、会見で質問が飛ぶと、森田清司総務本部長は、
「一部、参加しなかった選手はいるようですが‥‥」
と、歯切れが悪かった。
巨人軍には、賭け事に対する抵抗感がない素地があったというわけか──。
これでは、第5の関与者が暴かれることがないとは言い切れなさそうだ。
先のヤクザ幹部は言う。
「今まで明るみに出た選手を見てみろよ。全員投手だろ。しかも、みんなリリーバーだ。笠原がどこで勧誘してたかわかるか? 簡単だろ。ブルペンだよ。試合中のブルペンで持ちかけて、試合後にはBの店で食事だ。しかも笠原は一軍、二軍を行き来してたから、メンバーは増えていくよな。特に笠原と仲がよかったCはクロだな。先発を経験したこともあるDや、高木以上に実績のあるEも誘われてたって話だ。Bの店で笠原と食事をしていたFも、無口で賭博をやるようには見えなかったが怪しいな。あと、なぜか野手でも若手のGだけは笠原と店に出入りしていたって」
さらに、複数の主力野手にも疑惑がかかっているというから穏やかではない。
さる球界OBは、
「一連の賭博問題を受けて、選手会長の長野久義(31)は『こんなバカなことやりやがって‥‥』と吐き捨てていた。まだ関与者がいるなんて信じたくないですけどね‥‥」
と嘆いたが、先のヤクザ幹部はこう証言した。
「何言ってんだ(笑)。野手組を仕切ってまとめてたのは、バリバリ主力のHだよ」