「よもやの4位発進、まさかのガラガラぶりです」
エンタメ誌編集者がそう切り出しのは、3月19日に全国で劇場公開された、広瀬すずの主演映画「ちはやふる-上の句-」についてだ。
先日の日本アカデミー賞でも出演作の「海街diary」で新人女優賞を獲得して、女優ロードまっしぐらという印象をお茶の間に植え付けた広瀬。原作コミックはティーンの女子に大人気とあって、配給の東宝もこれ以上ない大々的な宣伝を展開していた。
「広瀬もテレビに出まくりで、3月に入り独走を続ける『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』に待ったをかけられるのではという大きな期待もかけられていました。ところが、フタを開けたら3週目に入ったドラえもんの約4割、有村架純出演の『僕だけがいない街』にも敗北しての第4位。このままでは興行収入10億円いくかどうか‥‥。前後編で合計40億円を目標にしていたと聞きますから、関係者も落胆しているでしょうね。おそらく大コケ映画の部類に仕分けされてしまうと思います」(前出・エンタメ編集者)
その後も集客は伸び悩んでいるようで、平日は空席率が90%以上と、鳴り物入りの新作映画としては大いに期待はずれの状況だ。この思いもよらぬ不入りの原因は何なのだろうか。
「映画の出来はけっして悪くない。むしろ、最近の邦画界にあっては上出来の部類に入るのではないでしょうか。実際、観た人の大半が後編である『下の句』も観にいくはずです。ところが、それこそが問題で、一昨年は『寄生獣』が興収で期待を大きく下回り、昨年は『進撃の巨人』の後編が前編の50%と嘲笑レベルの失態を晒したように、公開前から前後編を売りにする“金目興行”に観客がウンザリしているんです。通常の一般料金なら合計3600円ですから、よほど面白そうでないと普通は二の足を踏みます。それと、ここにきて囁かれるのは、広瀬の女性からの不人気ぶり。これは業界の想像以上でしょう。テレビでの失言でイメージダウンしたことが、ここにきて足を引っ張っている可能性が高いですね」(映画関係者)
一部からは、競技カルタに燃える青春映画になりすぎて、最近流行の“壁ドン”スイーツ映画の要素が少なすぎたのではという声もあるが、甘さ控え目だったことで「大人の男も楽しめる」と絶賛する声も聞こえてくる。
はたして広瀬の不人気が理由なのか、興行のあり方が問題なのか、映画の出来の良さがむしろ弱点なのか、はっきり一つには絞れないが、順風と思われた“業界の推しメン”女優の一本立ちロードに暗雲が立ち込めたことは、間違いないだろう。
(藤田まさし)