そうなれば、より多額の金が動く野球賭博に手を染めても不思議ではない。今回、発覚した4選手は全て投手であり、先にも記したように「ブルペンでの賭博談議」が問題視されている。その“疑惑の温床”で、野村氏も疑わしき瞬間を目撃したことがあった。
「まだ若手やった頃、ブルペンで何人かが野球中継を見とった。そこで、外国人選手が試合を決めるサヨナラホームランを打ったんや。すると、1年目のブルペンキャッチャーが『300万円勝った!』と絶叫しだしたことがあったな」
野村氏は「賭博とは断言できない」としながらも、
「『黒い霧事件』を知っている人に話を聞いたことがある。追放された投手は1試合八百長するだけで、1カ月分の給料をもらえたらしいわ。でも、投手だけでは八百長はできん。捕手、二塁手、遊撃手、中堅手。つまりセンターラインを抱き込むんや。彼らが打球を“上手に”処理する。そうすれば簡単にヒットを作れるわけや」
と、八百長がセットになった、野球賭博で動く金額の大きさを示唆する。そして野村氏は、「(選手で賭けて)負けるヤツはバカや」と断言した。
「練習や試合中、ボール回しをしているだけで、『この前のエラーをまだ引きずっているな』とかはプロならわかる。移動のバスやロッカーなんか、もっと具体的な話が入ってくる。対戦相手もスコアラーがミーティングでうそ偽りない詳細な情報をくれる。彼らも1試合勝てば3000~4000円もらえるからな。そうした情報を使って真剣に研究すれば野球賭博なんて勝てるはずや。それで負けるヤツは野球でも勝てんわ」
ところで気になるのは、取材で明らかとなった野村氏とじっこんの仲だった清原被告。現役時代からシャブに溺れていたほど真っ黒な男なら野球賭博にまで手を染めていたのではないか──。疑問をぶつけると、こう即答した。
「やっとらんはずや。ただ巨人時代、桑田(真澄)さん(47)がリリーフ登板で打ち込まれることが何度かあった。体を痛めながら投げていたんや。せやのに、それを見た清原が笑いながら『桑田は野球賭博をやっとるんちゃうか』と言って来た時は『先輩、冗談でも言うたらあきませんよ』と注意したったわ」
その後、新聞記事を見ながら、
「松本は格闘家に転身させたらどうやろか。俺が教えたろか」
と、記者に相談し始めるのだった。