早急に「統一球」の見直しを!
「飛ばないボール」の影響で大味なゲームが少なくなった一方、貧打戦が嫌われてか、今季の開幕から交流戦前までの平均観客動員数がセ・パともに減少傾向にある。選手会も統一球の見直しを日本野球機構(NPB)などに要望を出しているが、すぐに結論は出そうにはない。
となると、救援陣にとっては、まさに断末魔。登板過多による不調や故障など“過労死”とも言える状態が待っているのだが‥‥。
前出・江本氏が話す。
「監督にとってはリリーフに任せてしまったほうが楽なんです。先発を引っ張って負けたら自分に批判が集中するけど、リリーフが打たれれば投手コーチに責任転嫁できますからね(笑)。それと、酷な言い方になりますが、中継ぎ投手というのは先発やクローザーに比べて、技術的にも体力的にも力の足りないケースが多い。そういう人を長年にわたって酷使すれば、いずれ潰れてしまうのは明らか。その点は使うほうが考えてやらんといかんですよ」
巨人のリリーフエースとして活躍し、引退後は野村克也監督の下、投手コーチとしてブルペンを預かった経験もある評論家・角盈男氏も、指揮官には細心の注意が必要だと力説する。
「登板数が多くても、起用法がしっかりしていれば、投手の負担はある程度軽減するんです。例えば『勝ちゲームの8回限定』と決めた投手には、それを徹底させる。早く出すのは論外ですが、イニングをまたがせたり、イニングの途中で出すのも避けるべきですね。そうすれば調整もしやすい。リリーフ投手がいちばん疲れるのは、いつ出番が来るかわからずに、ブルペンで何度も肩を作ることなんです」
監督というのは、えてして130試合全部勝ちたがる。目先の勝利のために、リリーフ陣の負担には目をつぶってしまいがちなのだ。それを防ぐために、時には投手コーチが盾になることも必要だと、角氏は言う。
「野村さんにも『今日はこの人数しか用意していないから7回までは先発を引っ張ってください』と意見したこともあります。当時の守護神だった高津臣吾(43)も、原則として勝ちゲームの9回にしか使いませんでした。また、ゲームのない日のチーム練習には、リリーフ投手は参加させずにリフレッシュさせることも心がけましたね」
はたして、統一球問題は見直されるのか。前出・槙原氏は、こう危惧する。
「もし、見直しされないようであれば、中継ぎ・抑えの受難は、しばらく続くことになるでしょうね」
メジャーで活躍中のダルビッシュ有(25)も、選手会の「統一球見直し要求」には、ツイッターで賛同の意を表明している。救援陣、ファン獲得のためにも、早期の解決を期待したい。