交流戦で盛り上がりを見せている一方、中日の浅尾やソフトバンクのファルケンボーグなど、救援投手たちの戦線離脱が相次いでいる。理由は昨年から導入された「飛ばないボール」こと、統一球。投高打低で接戦が続き、それが登板数激増につながり、救援陣は“過労死”寸前だ。
肉体だけでなく精神的疲労も
高木守道新監督(70)の下、セ・リーグ首位争いを演じている中日ドラゴンズ。早くもリーグ3連覇に期待を寄せるファンに衝撃が走ったのは5月14日のことだった。不調が続いていた浅尾拓也(27)が、出場選手登録を抹消されたのだ。
昨年のMVP右腕も、今季は21試合で5度の救援失敗。本人と話し合った権藤博投手コーチ(73)が無期限の再調整を進言し、高木監督が了承したという。スポーツ紙のドラ番記者が同情気味にこう話す。
「浅尾は、一軍に定着した08年6月以降、283試合に登板しています。チーム試合数の約半分に投げてきた“勤続疲労”は否めません。常時150キロ以上だった直球も、今季は140キロ台前半までダウン。キレや制球も今イチで、痛打される場面が目立ちました」
疲労しているのは肉体だけではないと指摘するのは夕刊紙デスクだ。
「4月にベテラン・山本昌広(46)の白星を2度消していますが、試合後は神妙な表情で『山本さんに申し訳ない‥‥』と繰り返していました。責任感の強い性格なので、こうした精神的ショックも不調に拍車をかけた。権藤コーチも『リリーフ投手は心が強くないと務まらん。技術面が3とすれば、心の病が7だね』と分析しています」
中日は、落合博満前監督(58)が浅尾─岩瀬仁紀(37)の継投パターンを確立して常勝チームになった。高木監督もこの継投策を継承どころか、さらに徹底させている。守護神・岩瀬を例にとると、今季はすでに40試合中21試合に登板(5月17日時点、以下同)。ゴールデンウイーク中の9連戦では、昨年1度もなかった4連投のあと、1日置いて2連投というケースもあった。
「落合色の払拭を課せられている高木さんですが、負けるわけにはいかない。だから、たとえ先発投手が7回まで80球程度しか投げていなくても、かたくなに8回浅尾、9回岩瀬という形にこだわっていました。先発投手を引っ張らないのは中日に限ったことではないので、他球団から第2の浅尾が出ないか心配です。昨季途中で抑えに定着した巨人の久保裕也(31)は右肘再建手術で今季絶望ですからね。同じく山口鉄也(28)や、オリックスの香月良太(29)、西武の岡本篤志(31)なども、かなりの登板数をこなしています」(前出・夕刊紙デスク)