「台本、原作を読んで、自分の何かが変わるってわかんないけど、確信できたんだよね、不思議なことに。絶対やりたい! って。原作どおりハードなシーンもあるんだけど、それでも絶対やりたいって」
昨年9月24日、撮影を終えた直後、自身のブログにつづった本音である。
現在、10代の女優レースでは、何馬身も離して先頭を走る広瀬すず(17)。今や“日本国民の妹”とも呼べる愛され方だが、そんな優等生イメージを激変させる映画が9月公開予定の「怒り」(配給・東宝)だ。
渡辺謙を主演に、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡と、日本映画を代表する顔ぶれが集結した。
映画ジャーナリストの大高宏雄氏が言う。
「東宝としては力の入れようがすごいと評判です。劇中で妻夫木と綾野はゲイのカップルに扮していますが、原作にあるように『ガチのカラミシーン』を演じさせたようです」
原作は「悪人」や「さよなら渓谷」などハードな作風で知られる吉田修一氏、監督は「フラガール」が多くの作品賞を受賞した李相日氏。そして広瀬も、昨年は「海街diary」で綾瀬はるかや長澤まさみの異母妹になる4女・浅野すず役を演じ、数多くの新人女優賞に輝いた。
「3月19日に発売したセカンド写真集『17才のすずぼん。』は、初版の3万5000部が即日完売し、3万部の重版が決まりました。ただし、初の単独主演作『ちはやふる』(東宝)は、前後編に分けて公開される破格の扱いながら、観客動員で苦戦しています」(スポーツ紙映画記者)
アイドル人気は高いが、劇場に客を呼べる女優の域には到達していない‥‥。こうした評価をくつがえす骨太の作品が「怒り」となるか? 広瀬は今回の撮影中の心境を明かしている。
「何にもできなくて焦る一方で、すごく怖くて不安だらけで、あんなやる気あったのに一瞬にしてなくなった。自分の力の小ささに本当に情けなくなった」
どれだけハードな場面が待っていたのか──。