原作では、若い夫婦が自宅で惨殺され、27歳の犯人が逃走してから1年後という設定だ。犯人を追う刑事の捜査状況に加え、千葉・東京・沖縄で暮らす3組の男女が、それぞれ事件と重なり合う様を描いている。
広瀬の役は、沖縄の離島に母親と移住する女子高生・小宮山泉である。静かな島で穏やかな生活を送る泉は、ある日、夜道で2人の白人に立ち塞がられる。
〈右腕を強く引っ張られたのはその時だった。泉は思わず顔を上げた。とても高い場所に男たちの顔があった。泉はなぜか微笑んだ。微笑めば、そこを通してもらえると思った。しかし、今度はもう一人の男が泉の肩を掴む。叫んだ時にはもう口が塞がれていた〉
映画のシナリオは明らかにされていないが、原作においては変更することの許されない重要な場面である。まして、広瀬自身が「ハードなシーンもある」と語ったように、そのまま残されているのは間違いない。
いかに2人がかりのレイプが壮絶であったか、翌日の泉の回想から読み取れる。
〈大きな手で鼻も口も塞がれているのに、えずきそうになるほど強かった男物の香水。犬みたいな男たちの息遣い。両足を広げられた瞬間、体から力が抜けた。私の体が壊されている。男たちが私の手や脚を体から引き抜く。もう元に戻らないと私は思った〉
映画のタイトルそのままに「怒り」をにじませるほどだ。すでに撮影は終えているが、映画ジャーナリスト・大高宏雄氏は「広瀬の女優魂」に期待する。
「これまでの映画やCMを見ていると、表情に意志の強さを感じる。レイプされて、単に泣き叫ぶ受動的な演技なのか、そこから反転して生きる力を感じさせるのかが見どころ」
最後に再び、広瀬がブログにつづった、今作の充実感を伝えておきたい。
「スタッフさんが現場終わってから『すごい作品になりそうだなあ、これ本当に』って全員が全員揃えてホロッと口に出す現場なんか他にはない。17歳で参加できたのは本当に大きいことだと思う」
今年の日本映画最大の衝撃が訪れそうだ。