A氏は異常なまでの金への執着心も見せていた。同じ北陸地方に住む男性を借金漬けにして、奴隷のようにコキ使っているという。彼の友人が憤怒をあらわに被害を代弁する。
「A氏に700万円を投資したら倍の儲けが出る、と投資話を持ちかけたんです。しかし、私の友人は投資のお金に手をつけてしまい、損失を被ったA氏が激怒。預けた金に金利を乗せた分と、さらに投資で出るはずだった利益の約1500万円を請求し始めたんです」
男性は金を使い込んだ負い目もあってA氏の言いなりになっていた。仕事場には監視カメラが設置され、呼び出しにもすぐに応じなければならず、さらに毎月30万円以上の返済を強いられた。それでもA氏は執拗に追い込み続けた。
「その男性の子供が成人するのを見越して、A氏は彼を債務者とした債務承認の公正証書を作ると言いだしたんですが、さすがにそれは拒否したそうです」(前出・友人)
結局、A氏と当人の間で債務を確認する公正証書が作成されたが、そこに大きな落とし穴があった。本来は支払い義務のない金を、A氏が借金として上乗せしていたというのだ。
「年18%の遅延損害金と見込み利益の分は便宜上記載しているだけで実際には請求しない、と言われて証書にサインしたんです。しかし最近になって、A氏から証書どおりの額を払えと迫られ、ダマされたと気づいたようです」(前出・友人)
気づけば、720万円の債務は、3600万円に膨れ上がっていた。詐欺まがいの金貸しで暴利をむさぼるばかりか、一方で派手な女性関係でも知られていた。
「あの男は嫁さんがおるのに、女とあれば誰にでも手を出す。愛人とラブホにシケこんで48時間過ごすこともあるそうで、ワシの知り合いの女の子にも『キメセクしよう』って誘ってきたんや」(別の知人男性)
シャブを服用すると性交の快感が倍増すると言われているが、A氏も薬物による性交に溺れていたのだろうか。クスリ、金、そして女‥‥。今回の取材で、聖職者にあるまじき男の実像が浮かび上がってきた。
当のA氏を電話で直撃した。まず、公正証書で借金をでっち上げた疑惑について聞くと、こう答えた。
「元金の返済を迫っても相手が何度も虚偽の報告をしたため、証書を作成しました。貸した金額に間違いはありません。利息に関しては公証人の方が提案したものです」
また、覚醒剤の密売を画策した件についても、
「そういった事実は一切ございません」
と否定した。
「これ以上、電話でお話しすることはありません」
穏やかな口調で取材に応じ、最後にこう言って電話を切ったA氏だが、この直後、密売を強要した人物に連絡を取っていたのだ。
「ものすごい剣幕で『お前、週刊誌にバラしたやろ!』と詰め寄ったと聞きました」(冒頭の知人男性)
こんな男が、ふだん何食わぬ顔で仏の教えを説いていると思うと、檀家が気の毒でならない。